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声が・・・。

僕は大輝の頬に手を当てると少し驚いたのか大輝の身体がビクッとなった。 大輝はいつからいたのだろう? 寒くないような格好をしているが頬は冷たくなってしまっている。 僕は大輝を引き寄せて寒くないように抱きしめた。 何故泣いているかも分からないけれど落ち着くまで抱きしめよう。 「いぶちゃん!いぶちゃん。僕の事わかるの?」 分かるのってどう言う事? 聞こうと声を出そうとするけれど息が吐かれるくらいで声が出ない。 焦れば焦るほど上手く息も出来ないような感覚に陥って来る。 僕はどうしたの? パニックになっていると大輝が僕の手をギュッと握り締めてくれた。 「いぶちゃん、お声でないの?」 大輝のひと言で声が出ないという現実を突きつけられて僕は目を見開きそれでも出るんじゃないかと喉に手を当てて一生懸命に声を出そうとした。 それでも声は出て来なくて代わりに目から涙が溢れ出してポロポロと床に零れ落ちる。 「いぶちゃん。」 大輝の心配そうな声が聞こえて僕はまだ今の現実を受け止められずにいる。 僕は小さな大輝を抱きしめながら涙を流した。

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