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すまなかった

部屋のノックの音が聞こえて来ると大輝が僕の背中をポンポンと叩いて来る。 「僕が出るよ。」 『うん。お願い大輝。』 声が出ないけれど首を縦振り心の中で大輝にそう言って抱き締めている腕の力を緩めると大輝はすぐに立ち上がり部屋のドアへと向かって行った。 少しだけドアを開けて話をしている。 「いぶちゃん!そうちゃんが話したいって言ってるよ。」 話したいと言われても声が出ないから筆談でいいかな? 僕は大丈夫だと頷いて大輝に知らせるとドアを開けて中に蒼大が入ってきた。 けれど僕には近づいて来ない。 「聖輝、すまなかった。」 頭を下げる蒼大を見て僕は慌てて近寄り蒼大に抱きついたら蒼大は僕の顔を見つめて驚いている。 「俺に触れても平気なのか?」 僕はコクリと頷いた。 どうしてそんな事を聞かれるのか不思議に思っていたが微かに思い出される。 蒼大に乱暴に抱かれた事を思い出したのだ。

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