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許してくれるだろうか? Side拓人

ずっと食事も睡眠も殆どといって取っていない俺は限界が近づいている。 今迄これ程までに人を好きになった事がないと初めて気づいた。 食事も喉を通らないし寝てはみるが数分とかで目が覚めてきて熟睡なんて出来ない状態になっていて仕事もミスが目立ち始めた。 頭を冷やそうと立ち上がった瞬間に視界がグラリと歪んで崩れ落ちるように倒れた。 倒れた時にデスクに額をぶつけたのか痛みを感じて起き上がろうとしたが身体が重たくて手足を動かすこともできずにいると遠くで声が聞こえて来る。 近くにいる人よりもハッキリと俺には聞こえて来た。 「拓人さん!」 心配そうに俺を呼ぶ淳平の声が聞こえて俺はそれが嬉しかったのか安心をしてしまい意識が薄れていくのが分かった。 ずっと拓人さんと呼ばれていなかった。 もう呼んでもらえないんじゃないかと不安で仕方なくて・・・。 情けないよな淳平。 俺はどうやらお前がいないと本当にダメなのかもしれない。 だから、もう一度話を聞いて欲しい。 今度は淳平に全てを話すからそしたら許してくれるだろうか?

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