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目覚める Side拓人

目を覚ますと白い天井と病院の独特の匂いがして来る。 俺は・・・。 起き上がろうとすると頭がズキンと痛み顔を歪め次第に俺がどういう状態になってここに居るのか理解し始めた。 会社で俺は倒れたのか? 薄れ行く意識の中で俺を心配そうに呼ぶ淳平の声が今も耳に残り頭が痛いよりも胸を痛めた。 「拓人さん?気がついたんですか?」 「あっ・・・じ・・淳平?」 俺の側に椅子に座って心配そうに覗き込む淳平の顔が見えると自然と目に涙が溜まり出した。 俺は都合の良い夢を見ているんだ。 「拓人さん!痛いんですか?」 慌て俺の頬に触れる淳平の手の温もりは都合の良い夢じゃないと分からせた。 淳平の温もりが嬉しくて涙が止まらなくなりポロポロと零れ落ち出した。 「拓人さん!看護師さんを呼ぶから待ってて下さい。」 ナースコールをしようとする淳平の腕を掴み弱々しく呟いた。 「痛くない。大丈夫だから淳平。」 「だけど泣いてるじゃないですか拓人さん!」 「これは、もう淳平が俺の名前を呼んでくれないと思っていたからまた名前を呼んでくれて嬉しくて泣いてるんだ。」 「拓人さん・・・俺・・。」 淳平は暗い表情を浮かべて俺から目を逸らした。 そっか・・・許してくれたんじゃないんだ。 バカだな俺。 本当に何やってるんだ。

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