5 / 5
5.
翌日から今迄以上に波星と相庭が過保護になった。
まだ発情期間中なので触れられないが、ずっと側に居てくれる様になった。
俺を襲った人達は全員停学処分になり、俺は家族から波星と早く番を成立させる様に言われた。
番を成立させるには、性交時に首筋を噛まれなければならないらしい。
首筋を噛む?
何それ絶対痛い。
噛まれた後はソレが一生残るらしいし、嫌だ。絶対無理。
波星と番になるのは決まっている。
それは理解しているし、別に嫌ではない。
だけど、まだなりたくない。
俺は波星と家族にまだ嫌だ。もう少し待って欲しいと頼んだ。
すぐ番にはならないとは言ったが、あれ以来絶対離れたくないって思ったらしい。
甘えた声で永翔、永翔呼んで纒わり付いて正直ウザイ。
けれど幸せそうに俺を見詰める視線が、恐る恐る触れる指先が、甘い声が、全てが俺を求めてくれているんだって分かって嬉しくなる。
笑顔で差し伸べられる手。
なんか嫌。
ぺチッ、払い除けると自分から右手を差し出した。
いつもニコニコしてウザイし優位に立たれると
ムカつくけれど、本当は大好きなんだ。
でも、やっぱり言いたくないからまだ言わない。
言って欲しかったらもっと俺を欲しがれ。
繋ぐ時は自分から繋ぐ。
与えられ過ぎるのは嫌なんだ。
「先輩、お手」
「……わんっ」
乗せられた左手を握りしめる。
初めてしたお手。
なんだか可愛い。
余りの可愛さに
「ねぇ先輩」
「なぁに?」
「俺が好きならずっと側に居て?」
甘える様に我が儘を口にした。
ともだちにシェアしよう!