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3ヶ月が経つと、漸くこの面倒臭い発情期にも慣れてきた。
殆ど毎月同じ日付近に始まる為手帳に開始日を記入する。
出来るだけ発情期間中は誰にも、特にαには触れない。
危ないから絶対に一人で行動しない。
色々面倒な事が多くてストレスが溜まる為、発情期以外は今迄以上に周囲に甘える事にした。
皆デレデレしてるし嬉しそうだから利害一致だよね?
そのせいで元々多かった俺の取り巻きは異常な位増えた。
毎日持て囃されるが支障ないし気にしなかった。
だがそれが甘い考えだった事に気付かされたのは、その翌月だった。
今迄自分に好意を寄せている人達は皆優しかったし危害を加えてくる人なんか居なかったから安心していたんだ。
化学の先生に呼ばれ向かった準備室。
その日相庭は休みで、その時丁度波星も庶務の仕事で生徒会に呼ばれて居なかった為一人だった。
絶対に自分が居ない間は教室から出るなと波星には言われていたが、準備室迄そんなに遠くないし大丈夫だろうと油断していた。
あと少しで着く時だった。
突然背後から腕を引っ張られ空き教室に引き摺り込まれた。
遮光用の黒いカーテンがされていて尚且つ電気が消えている為よく見えないが
「いらっしゃい沙霧様」
複数の声と微かに荒い息遣いが聞こえた。
「沙霧様がいけないんですからね」
「美し過ぎるからいけないんです」
「煽り過ぎてます」
何だか口々に俺が悪いと言われる。
何故責められなければならないのかサッパリ
分からない。
でも
「なっ、何をする?止めろっ!!」
突然脱がされ始めた制服と触られる身体に自分の危険を感じた。
「…っ、止めろっ、触るな!!!」
必死に抵抗するが、四方から伸びてくる手と慣れない暗さのせいで身動きが出来ない。
怖い、嫌だ。相庭、波星、ドッチでも良いから助けろっ!!
必死に心の中で助けを呼んだ。
知らない奴に抱き締められ、アチコチ触られ、全身を舐められる。
物凄く気持ち悪い。
ダメだ、吐きそう。
怖いよりも不快感や嫌悪感の方が強い。
唇を奪われた瞬間、激しい拒絶反応が出て意識がブラックアウトした。
「………はるか……永翔…」
見知った声で覚醒した時、目の前には泣き腫らした波星が居た。
「一人にしてごめん」
ボロボロ情けなく涙を流しながら俺を抱き締める。
鼻に入るのは錆びた様な臭い。
何かと思いチラリ視線を動かすと、アチコチに此処に俺を閉じ込めていた奴等が噎せ返る血の匂いの中倒れていた。
波星は俺に制服を着せると俺を抱き上げ、そのまま下校した。
ドクドクドク。バクバク。おかしな音を立ててなる心音。
震える身体。
全身が熱くて血液が沸騰しそう。
何コレ?苦しい。
波星に触れられておかしくなった身体。
頭の中が真っ白で何も考えられない。
自室に着いた時には情けない事に俺は下着がグチャグチャになっていた。
初めての事に頭が着いていかない。
一体下着を濡らした液体は何なんだ?
何もしていないのに勃ち上がっている自身。
有り得ない箇所から大量に溢れ出て来る粘液。
保健で習った事を思い出し
「……マジか」
漸く今の自分の身に起こっている自体を理解した。
抑制剤を飲んでいても過度の興奮状態に陥った時や番に触れられている間は薬の効果が薄れる。
これは明らかに発情状態だ。
余りの苦しさにハァハァ肩で息をする俺を
「大丈夫だから」
優しく宥める波星。
時折当たる異常な位硬い物が、波星も発情しているのだと教えていた。
が
「永翔を襲った奴等は全員倒したし、学校にも家にも通報した。もう二度と触らせたりしないから安心して?」
自分も辛くて苦しい筈なのに波星は優しく俺を抱き締めるだけで何もしてこなかった。
結局その日は熱くて苦しくて死にそうだったけれどずっと波星が頭を撫でながら名前を呼んでくれて。
安心したのか俺は、いつの間にか温かな波星の腕の中、眠りについていた。
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