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今朝見たニュースによると、今日は気温が40度まで上がるらしい。
( こんな日に学校に来てテストを受けなきゃならないなんて拷問に近いな... )
おれ、田中 明里にも
高校生になって2回目の夏がやってきた。
ただ座っているだけなのに、シャーペンを持つ手のひらはじっとりと濡れている。
教室内は汗と制汗剤と少しのカビの臭いで充満していた。
明里は黒板の上にある時計の針を見つめていた。
( あと10秒……9...8..7...............1.. )
聞き慣れた鐘の音が鳴り響き、教壇に立っていた教師が気だるそうに答案を後ろから回してくるように指示している。
自分の答案を見直して、空欄の数にうんざりしていると誰かに背中を叩かれた。
後ろを振り返ると明里の数少ない友達である小谷が自信ありげな表情でこちらを見ていた。
彼は答案を明里に回しながら話しかけてきた。
『 明里〜。できた?俺めっちゃ書けたんだけど!今までで1番いいかも知んない。今回は頑張って勉強したから。』
『 う…おまえ声でかいって…徹夜の頭に響く…それ毎回言ってるけど、おまえ補習常連組だろ。』
教師が連絡事項を話しているが、教室はテストからの解放感からか喧騒に包まれていた。
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