5 / 34
03
*屋敷の中
赤い絨毯が敷き詰められた中央玄関。大広間にはシャンデリアが吊るされており、荘厳な石像、精良たる絵画、そのどれもがこの屋敷は貴族の家であることを語っている。
そんな美術品には目もくれず、マイケルは屋敷の離れへと足早に歩いていく。そこはいわゆる使用人棟。住み込みで働いている使用人たちの部屋が集まっている場所だ。
マイケルはその中の一室にノックをして扉を開ける。
マイケル「やぁ、リオ。今日の調子はどうだい?」
隙間風が入る木造の部屋、ギシギシと音の鳴る安っぽいベッド。そこに寝ているのは短髪黒髪の少年。ラーヤーン家に仕えるハウスボーイのリオだ。
リオ「マイク……いえ、マイケル様、こんなところに次期ラーヤーン家当主様が来てはいけません」
マイケル「ふふっ。リオ、今は二人っきりだからいつも通りの口調で良いよ。」
リオ「そうは言ってもですねマイケル様。私も立場というものが」
スッとリオのベッドに腰掛けるマイケル。
ともだちにシェアしよう!