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本編 18

○春のマンション・寝室 (夜) ベッドの上で寝ていた春が目を覚ます。彼の手を握り心配そうに見つめている貴臣。 春:「貴臣…」 貴臣:「大丈夫か?」 春M:(映画を観ていた筈なのに…ああ、そうか。あんなシーンを観てしまったから過去の出来事がフラッシュバックしたんだ。) 春:「大丈夫だよ。ありがとう。」 心配掛けまいと無理に笑顔を浮かべる春に対し、躊躇いながらも尋ねる貴臣。 貴臣:「春、一つ聞いても良いかな?」 春:「うん。何?」 貴臣:「さっきさ…偶然見ちゃったんだけど、腹に有る刺傷みたいな痕は何?」 はっとした表情を浮かべ、服の上から傷痕に手をやる春。 春:「…何でも無いよ。」 ふいっと視線を逸らす春。 貴臣:「俺達が付き合っていた頃、顔や身体に痣が出来てた事が有ったよな?お前は転んだだけって言い張ってたけど…」 話を続ける貴臣。 貴臣:「あの日もそうだった。痣の事を問い詰めたら、別れを告げて来たよな?其れから暫くして、お前は俺の前から姿を消した。」 口端が震え、苦し気な表情を浮かべている春。

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