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本編 29
○レンタル彼氏運営会社『Greets spring』事務所
涙を拭う貴臣。
貴臣:「春は…何処に居ますか?」
わざと呆れ顔を浮かべる輝一。
輝一:「全てを知った今でも、春への想いは変わらないのか?同情なら止めておけ。」
貴臣:「同情じゃなくて愛情だ!!」
輝一の表情が穏やかなものに変わる。
輝一:「春はホテルに居る。迎えに行ってやってくれ。」
紙にホテルの名前とルームナンバーを記し、貴臣に手渡す輝一。
物悲しい笑みを浮かべた輝一の表情に、はっとする貴臣。
貴臣:「貴方…春の事を…」
輝一:「グダグダ言ってねぇで、さっさと会いに行けよ。泣かせたら承知しねぇからな。」
手で追い払う仕草を見せる輝一。
貴臣:「ありがとう。」
事務所を飛び出して行く貴臣。
輝一:「ようやく…冬が終わるんだな…」
眼鏡を外し目頭を抑える輝一。涙が頬を伝う。
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