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第6話・彼の本心は?

「可愛い、綾人。すごく綺麗だ……」  内壁の中で前立腺を執拗に擦り続けていた骨張った指が消え、綾人の腰が浮いた。  後孔に熱を持つ硬いものが触れた。 「んっ……」  硬いものの正体に気がついた綾人はできるだけ力を抜く。  するとすぐにそれは綾人の内壁を掻き分け、最奥を目指して進む。  自分を組み敷く彼は今、どういう表情をしているのだろう。  今朝のようにまた軽蔑されたら?  (きたな)いと思っていたら?  綾人は凌雅に無理矢理組み敷かれた当時のことを思い出し、急に恐くなった。 「りょ、が……」  綾人は唇を震わせ、背後にいるだろう彼の方へ振り向けば、薄い唇が綾人の唇を塞いだ。 「んうぅ……」  今朝の行為にこれはなかった。  だから凌雅は自分を軽蔑していない。  綾人の胸が幸福感で一杯になる。 「りょ、が。凌雅の顔、見たい……これ、いやだ……」  たとえこれが綾人の夢だとしても、好きな人との情交だ。  彼をもっと間近に感じたい。  綾人が強請(ねだ)ると、目の前にある薄い唇が孤を描く。 「何それ、ものすごく可愛いんですけど」  凌雅は一度、自分を締めつける魅力的な内壁から楔を抜き取ると綾人を反転させ、ふたたびひと息に穿つ。 「っひ、ああっ!!」  突然の深い接合に、しなやかな裸体は弓なりに反れた。

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