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和音は一哉の顔を思い浮かべる。
和音の顔が紅潮して、瞳が潤む。
和音(もし、俺が何もしなければ――)
着信音が鳴り響いた。テーブルの上で、携帯電話が震えている。
和音は震える手で携帯電話を取った。
一哉「和音」
一哉の声に目を閉じた。
一哉「チキンかピザで迷ってるんだ。どっちが――和音?」
目を閉じたまま、和音はゆるく首を振る。
電話を持っていない方の手で、片方の手に爪を立てる。
○(回想)母親「お兄ちゃんの恋人を紹介されたの。綺麗な子で、驚いちゃった」
和音はふっと息を吐く。
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