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和音「兄ちゃん……来て」  一哉が黙る。  目を閉じたまま、苦しそうな顔で和音は続ける。 和音「今すぐ――来てほしい」 一哉「……すぐ行く」  通話が切れた。和音が目を開ける。  和音の手から落ちた携帯電話がベッドの上に着地する。  ○(回想)一哉「すぐ行く」  もう一度目を閉じた和音は、一哉の残像を追うように、そろりと下肢に手を伸ばした。

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