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第47話→sideRT

なんだか夢の続きのような言葉を聞いて、俺は現金にも俺は舞い上がっていた。 ハルカのことだから、腹にいちもつもにもつも抱え込んでいるのは分かっていた。気分屋で今の言葉だって、翌日には有効かどうかわからない。 昨晩あれだけ手酷くしたことには、ぶつぶつ文句はいっていたが、俺の返した言葉にひどく満足した顔をしている。 実際のとこ、ハルカのキモチが俺にあるのかといったら、ソレはどうかわからない。なんの気まぐれか分からないが、恋人にしてくれるって言ってんだよな。 何でこんなうまい話になってるのかも、実際よく分かってない。 今日は休みなので朝飯をつくりながら、俺は気持ちが地につかないのでいっぱいだった。 結局のところ、ハルカを助け出したのだって、俺がハルカが欲しくて仕方がなかっただけなのかもしれない。 「朝飯か?なんだ、今日は、仕事じゃねーのか?」 起きてきたのか、ハルカはダイニングの椅子に座ってキッチンに立つ俺を眺める。 「今日は金曜だし、昨日の今日で怪我するかもしれねーから休みはとっておいた」 「ふうん。…………用意周到だな。相変わらず」 目の前に冷えた麦茶を出してやり、首筋に残る痛々しいうっ血に流石に、俺は罪悪感をもよおして視線を逸らす。 自分のやったこととはいえ、直視できない。 「随分動いてなかったからなあ。筋肉が落ちちまった。なー、ダンベルとかねーの?」 「リビングに水ダンベルならある。でも、まだ、無理すんなよ」 「大丈夫、俺は無理するタマじゃねーよ。…………後で真壁とかに、礼しにいくなら俺もいくぜ。昨日は憎まれ口しか言えなかったし……」 五十嵐さんの店に、世話になったヤツらを誘おうとは思っていたが、話を先にふられて俺は意外に思う。 「ハルカはさ、あの…………松川さんとこにいたんだよな」 「ああ。偶然街で会って仕事くれたからな。ま、結局のとこ利用されちまったけどな。……俺は、頭わりーからさ」 テーブルに作った味噌汁とごはんと、焼き魚の定番メニューを並べてハルカを眺める。 昨日のような険のある態度はさっぱりきえている。 俺が好きだと告白したからか? ガラリと変わった態度が、俺にはよくわからない。 「内臓とられて、身体いじられたけど生きてるだけ良かったかもな。別に殺されてもいいやって気になってたけどさ。…………でもよ、オマエには、俺は命張る価値あるんだろ?」 目を伏せてハルカは静かに俺に問いかける。 問われなくとも、俺は心からそう思っている。 深く頷くと、ハルカは俺に手を伸ばす。 「オマエに縁を切られても、まっあく構わないと出ていったのにな」 俺に寄りかかることをよしとしなかったのは、ハルカのプライドだ。 「縁を切るとか、そんなの……脅しだ」 「どっかで、それも分かってたかもな」 俺の首筋に手を回すと軽く締め上げて、ハルカは笑う。 すっと目が細められて、ハルカらしい凶暴な光がやどる。 「こころのどっかで、ライは俺を追いかけてくると思ってた」 生殺与奪も全てを握ってるのだといわんばかりの表情に、俺はキモチの全部もっていかれた。

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