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第8話
「やだぁ……!セイブル!やめて……っあぁ……!」
首筋に噛み付かれた痛みを堪え、セイブルの体を押し返そうと必死で抵抗するも、騎士として鍛えられた体はそう易々と押し返すことは出来ない。
セイブルは鎖で両手を繋がれながらも、ジオラルドの細い両足を持ち上げ、ジオラルドの秘部にセイブルは唇をつけた。
寝ているうちに、昨日の精液や粘液はすっかり乾いてしまっていた。
ぬるりと入ってくる舌の感触に、下腹部がゾワゾワとする。
(こんなの……気持ち悪いのに……!)
「ジオラルド様……奥からどんどん蜜が溢れてくる」
セイブルは花の蜜を吸う虫のように奥へ奥へとジオラルドの蕾に舌を入れる。
「あっ……んんっ!こんなことっ、もう、やめて……!やっ……」
強い力で、足を掴まれていたが、ふとセイブルの力が弱まると、その隙をついてベッドから転げ落ちるように逃げ出す。
冷たい大理石の床を匍匐前進するように、這って逃げ出そうとするが、セイブルはあっという間にジオラルドの体を押さえつけた。
「あぁ……ジオラルド様……私はずっと、ずっと貴方の小さな背中を見つめていました。高貴で、気高い」
ジオラルドの白くキメの細かい背中を、セイブルの大きな手が撫でる。
「ずっとこの美しい体に触れたかったのです……」
背中を触り、すーっと指で臀部の割れ目までなぞる。
割れ目までなぞると、ジオラルドの丸く白い尻臀をセイブルはぐっと両側に開き、先程まで蹂躙された秘部は赤く熟れ、しとどに濡らされたそこはトロリと蜜がたれている。
セイブルはその蜜を指ですくうと、ぺろりと舐めた。
甘い。どこもかしこも甘い。
この御方は、やはり並の人間ではないのだ。
皇帝陛下に仕えている騎士たる自分が男を好きになるなんて、しかも仕えている年下の王子を好きなるなんて……そんなことはない。あるはずがない。
『立派な騎士である貴方が、王子とはいえ、少年に恋をするなど有り得ない。ほら見なさい……あの女神のステンドグラス。ジオラルド殿下にそっくりではないですか?彼はもしかしたら……』
そうだ。シュバルツ様も言っておられたではないか。
ジオラルド様は女神の化身。
この帝国の女神であるならば、騎士たる自分が敬愛し、お守りしなくてはいけない存在だ。
「お守りしなくては……未来永劫、生きてもらわなくては……」
『ジオラルド殿下のお命は風前の灯火です。あの方のお命を繋ぐには』
「ジオラルド様、あなたの命をつなぐために、精を注ぎ込まなくてはいけないのです」
そそり立った自身をジオラルドの小さな蕾に打ち込んだ。
――――
シュバルツは黒馬を降り、キオ公国のハリス公爵の屋敷に入る。
使用人に頭を下げられる。
その使用人に二、三言葉をかけると、使用人は頭を下げて、後ろに下がった。
シュバルツはハリス公爵の寝室に入ると、本棚の本をいくつか押す。
ガチャリと本棚が横に動き、地下への階段が現れた。
地下へ進むと、冷たく暗い地下牢が姿を現した。
「フェルナンド様、カルメリア様」
暗闇に向かってシュバルツは声をかける。
「……シュバルツか」
肩まで伸びた金色の髪はいつも後ろで結んでいるが、今は結ばずそのまま肩まで垂らしている。
瞳はジオラルドと同じ青い瞳。
「フェルナンド様。ご無事でしたか」
「まさか、式典と思いきや、囚われの身になるとは……しかも、父上が……。カルメリア、シュバルツが来たぞ」
金色の短い髪をした男が、足を引きずりながら出てきた。
拷問を受けたのだろうか、右足には自分の服を裂いた布を巻き付けている。
「シュバルツ……お前、何しに来た。キオの犬が。ハリスから全て聞いたぞ」
その言葉は、唾のようにシュバルツに吐き捨てられる。
シュバルツは懐から鍵束を取り出し、牢屋の鍵を開けた。
「シュバルツ、お前何を……」
「早く出てください。裏庭に馬を二頭待たせています。早く帝国にお戻りください」
「裏切り者の言うことなど……!!」
カルメリアがシュバルツに凄むと、フェルナンドは手で制した。
「私の言葉は信じなくても構わない。しかし、ジオラルド殿下が窮地なのです。すぐに助けに行ってくださいませ」
「ジオラルドが……!?」
「城の教会の地下に部屋があります。そこにジオラルド殿下がいらっしゃいます」
二人は地下牢が飛び出した。
その後ろ姿を見送ると、はぁ……とシュバルツはため息をついた。
(この後は……きっと、もう大丈夫だ。ジオラルドは救われる)
そうだ。この計画の全ては、ジオラルドの為なのだ。
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