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3.仮初めの距離(22)
名木先生のおかげで、課題は翌日には全て終わっていた。
放課後、早速それを提出しに行ったら、瀬名は「ここまでしっかりやってくるとは嬉しい誤算だった」と目を丸くして、終いには「やっぱりお前は素晴らしい生徒だ」と感動したように俺を抱き締めようとした。
もちろんそれは、丁重にお断りさせてもらったが。
何にしても大げさな男だと思う。表情も言葉もストレートすぎて、見ているこっちが恥ずかしくなってくる。
――しかし、やはり不思議と悪い気はしなかった。
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