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第1話
「ハッ、無様だな。ダッセェ」
ボロ雑巾の様に地面に這いつくばる男を見て湧き上がるは歓喜。
昔っから俺の性癖は変わっている。
好きな女の子を泣かせて喜ぶ小学生がそのまま歪んで成長したのが俺だ。
最初は廊下で偶然ぶつかったのが始まり。
衝突し転んで潤んだ涙目に萌えた。
頬を抓ったり軽く突き飛ばしたりすると必ず返ってくるのはウルウルした瞳。
ゾクゾクした。
が、何だかそれじゃあ物足りなくなって、次は抓るのではなく叩いたり蹴ったりしてみた。
潤んだ瞳だけでなく、悪意を持って睨まれた瞬間ヤバイって感じた。
嗚呼、これだ。
俺が欲しかったのはずっとこれだったんだ。
それからは少しでも気になった奴が居たら陰湿に苛めたり暴力を振るったりした。
段々と周囲の目が悪意から殺意に変わる。
敵意と嫌悪感丸出しの視線に囲まれて、最高に満たされた感覚を味わった。
高校に進学しても同様の事を繰り返していたら停学にされた。
反省書を書かされたが何が悪いのかサッパリ分からない。
自分がしたい事をして満たされただけだ。
笑顔よりも苦痛・恐怖・悪意・殺意に満ちた歪んだ顔の方が好きだ。
見ていて可愛いし、何より興奮する。
数回停学を繰り返したら、退学処分になってしまった。
なんだ、ツマンネェ。
する事もなくブラブラしていたら突然ドクンッ!変な衝撃に襲われ意識を手放した。
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