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第1話 痛いのは嫌い

オレはクラスメイトに後ろから抱きしめられ、体をいじられていた。 誰もいない放課後の高等部2年4組の教室でだ。 自分たちの教室でやるのはマジでやめて欲しい。 だって、普通に授業を受ける場所なんだから、匂いとか残ると嫌だし。 汚れの後片付けとか面倒だよ。 気を抜くと、授業中に思い出してしまうし。 「あっ、や……うっ……」 「声、大きい」 クラスメイトの低い声が、いささか不機嫌そうにはなたれた。 ため息のような吐息が、オレの耳をかすめていった。 くすぐったさに身をよじるが、羽交い締めにされていて身動きがとれない。 痩せてもないオレを、すっぽり後ろから抱きすくめる体躯の持ち主は、筋肉マッチョでもないのに腕力もあった。 「じゃあ、さわんなっ」 「さわって欲しいって、言ったの」 あんたでしょ、と。 オレの耳に甘い声で囁いてきた。 そんなことは断じて言っていない。 後ろにいる男は、オレの耳をじっとりと舐めあげたあと、 「痛っ!」 がっつりと噛んできた。 「好きでしょ、痛いの」 「好きじゃない」 「さっきより、大きくなってんのに」 と、制服のズボンの上から、オレの大事な分身をまさぐってくる。 首をねじっで、後ろの男をにらんでやったら、 「ねだってんの?」 「はあ?」 思いっきり、眉間にシワをよせてしまった。 「どこをどう見て、そう思うわけ?」 「全部」 オレの眉間のシワがよりいっそうふかくなった。 男が男に襲われる。 ここでは特に珍しいことではない。 性欲のありあまった男子高校生が、山奥の全寮制の学校に放り込まれているのだ。 手っ取り早く、身近で同性同士で恋愛をし性欲を発散するのがこの学園での日常だった。 「ねぇ集中しようよ」 と、クラスメイトはおキレイな顔をつまらなそうにゆがめた。 「こんなとこで、できるか」 「いまさら」 「嫌なもんは嫌」 と、オレは言い捨てて前に向きなおった。 「わがままばっか言わないの」 オレの胸元から入っている大きな手が、オレの地肌をはっていく。

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