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第21話 飴の食べ方(2ヶ月前、1)

オレは、ただいま恋人いない歴2ヶ月目に突入中。 そうなった発端は、2ヶ月前の放課後にさかのぼる。 正確には、入学式の前日で始業式の日だ。 見た目が、ホントにかわいい女の子みたいなフワフワした先輩に、特別教室棟の階段に呼び出されて、そこにいってしまったのが、運のつき。 3階から4階へと続く踊り場で、先輩に、 「付き合って欲しい」 と、告白されて、 「いいですよ」 と、フリーになったばかりのオレは答えた。 「飴あげるね」 と、とうとつに言った先輩。 赤い小さい袋を破ってでてきた赤い飴を、先輩は自分の口に入れた。 「はい?」 展開についていけなくて、頭の中は?マークが点滅してたけど。 先輩は、こぼれそうな大きな瞳をうるませて、背伸びして抱きついてきた。 そして、先輩に飴をもらいました。 口移し、でだ。 お互いの口と口を飴玉を行き来きさせて、 舐めて、 溶かしあって。 甘ったるい味と唾液が混じりあって、くちゅりという卑猥な音が頭をおかしくさせていく。 何度も、 何度も、 繰り返して。 先輩のやわらかい唇を濡らす唾液が、尖った顎を汚していて。 先輩の口内に飴を差し入れたあと、 垂れ続けるよだれを、オレは舌先で舐めとった。 先輩が飴玉を噛んで割り、オレの口に押し込んできた。 甘い飴のかけらと、中にあっただろう苦い液体が口内をしめていく。 「飲んでね」 と、天使の微笑みをされたら、飲まないわけにはいかず。 唾液と一緒に飲み込んだ。 「苦いね」 と、オレ。 「もう少ししたら、甘くなるからね」 と、先輩が頬にキスしてきた。 苦いものは苦い。 甘いのはオレたちの関係性だ。 そのことを言ったのかな? 先輩が瞼にも羽のようなやさしいキスをしてきた。 耳朶を食むように噛まれた。 耳の中に舌をさしこめられる。 ネクタイをゆるめられ、制服のジャケットはそのままでシャツのボタンをはずされた。 肌着をたくしあげられた。 はだけられた胸に指をはわしていく。 顔に似合わず、積極的なんだなぁ。 なんて、オレはのんきにかまえていた。 先輩が、とんでもない悪魔な一面をあらわすまでは。

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