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第58話 i◯honeの画像がキレイすぎてへこむ(2ヶ月前、38)
「桜井にも決定権をあげるよ。僕の条件を断ってもいいけど」
龍ヶ崎はオレの手をはなし、
制服の上着から、スマホをとりだした。
「何かの手違いで流出したら、ごめんね?」
1枚の写真を見せてきた。
シーツの上にしどけない姿をさらしている自分がいた。
紅潮した顔には、汗がうかんでいて。
赤く潤んだ目がカメラをみているのに、
少し苦しげに細められた目の焦点があっていない。
半開きの口からはよだれがたれていた。
オレは目を見開いて龍ヶ崎をみた。
「なに、してんだよっ……」
「記念写真」
と、龍ヶ崎がしれっと答えた。
「ばっかじゃないのっ。消せよっ! すぐに消せっ!!」
怒鳴りながら、龍ヶ崎のスマホに手を伸ばす。
けど、その手を逆に強くつかまれた。
よく見れば、スマホじゃなくて、i◯honeだ。
龍ヶ崎はもう一方の手で、i◯honeを操作し、次の写真を見せてきた。
片足を持ち上げられ、お尻にデカイ逸物が半分くらいねじ込まれている写真だった。
オレの顔もわかるアングルで撮られていた。
結合部からは、かなりの量の白いモンがあふれて、太股に垂れ流れていた。
あまりのリアルさに、言葉がでない。
頭を殴られたような衝撃をくらった。
龍ヶ崎に抱かれたのは、事実だけど。
記憶が曖昧だから、アナルセックスはほとんど覚えていない。
それがオレには、すごく救いだったんだ。
それなのに、写真で、客観的に事実を突き立てられたのだ。
マジで、
……やっちゃったんだよなぁ。
「いい顔するなぁ」
と、龍ヶ崎がクスクスと笑った。
「……オレに選択肢なんてないじゃん。セフレになれば、それ消してくれるの?」
「もちろん」
「いつまで?」
「そうだなぁ。僕に恋人ができるまで」
「じゃあ、いますぐ作れっ!」
「あははは。桜井が必死になるなんて、面白いものみたなぁ」
龍ヶ崎が声をだして笑った。
人形みたいなきれいな顔に、人間くささがくわった。
ポカーンとみてたら、
「バカ面」
と、龍ヶ崎が笑顔を消した。
龍ヶ崎に写真を盾に脅されて、セフレの関係になって二ヶ月が経った。
体がどんどん龍ヶ崎に慣らされていく。
それがとんでもなく嫌だ。
あ、
オレの親衛隊ができました。
まだ、
風紀委員には、なっていません。
ほとぼりがさめるまで、
目立った行動は慎めと、
神田さんからのお達しのせいだ。
【 了 】
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