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SS-5-11『 今日と、明日と、あさってと』【R18】

僕の背中にしがみつく両手が愛おしい。 黒い艶やかな髪が汗で額に張り付いても、涙で顔がぐしゃぐしゃになっていても、全部抱き締めてあげる。 「ユキさん…ユキ…」 「志摩ぁ…好きぃ…」 腰を大きくグラインドさせてユキと高みに登っていく。 「うん…僕も…ユキが…大好き…」 「俺、生きてる…志摩と…生きたい…」 「うん…僕と一生一緒に…」 …生きて… 「ぁ…志摩…?」 ベッドでユキさんが目を開け、僕を呼ぶ。 傍に膝まづいてユキさんの髪を撫で付けた。 興奮が治まったようで、赤みがかった顔色はやや青ざめている。 「無理させちゃいました。ごめんなさい」 …勢いで、しかもソファーで。 今日は抱くつもりはなかったのに。 「俺が…そうして欲しかったから…」 ユキさんは恥ずかしいのか布団を目の下までかぶっていた。 「ふふ…」 …かわいいひと… 「志摩?」 「若葉がね、最近気になる人がいるって」 「…!誰!」 ユキさんが驚きのあまりベッドから飛び起きた。 「大学の方らしいですよ」 「そうか…」 ユキさんの目が細まり、僅かだが顔に赤みが刺した、ような気がする。 …若葉の世界が広がって、ユキさんは嬉しいんだ。 「そのうち紹介してくれますよ」 「うん」 ユキさんの顎を掬い、唇を合わせた。 瞼を閉じて震える睫毛。 チュッチュッと二つキスを落とし、愛しい人を抱きしめる。 …幸せで、胸がいっぱい。 …ユキ、いつまでも… …僕と…。 ー了ー

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