4 / 5
4.
逢うのが怖くて避けていた村主の家。
逢いたいのに逢いたくない。相反する気持ち。
顔が見たい、声が聞きたい。
逢いたいよ……村主。
禁断症状に陥っていたら家に村主からの電話が入った。
教えてないのに何故知っているのだろうか。
不思議に思ったが、我慢の限界だった俺はそのまま村主の家に向かった。
「小学校の間ずっとお前が操を苛めていたんだな」
え?
「中学でもお前が指示を出していたと聞かされた」
何それ?知らない。
確かに俺は日野を苛めた。他の奴等にも手を出した。
だが、日野を苛めたのは短期間のみ。
その後は本当に何も関わっていないのに、何故全て俺のせいになっているのだろうか。
分からないが、村主が学校から聞いたと口にして漸く理解出来た。
多分学校側は全ての責任を俺に押し付けたんだ。
基本規則で生徒の名前は言えない。
その点俺は問題児。
名前を出しても何も支障がないと考えたのだろう。
だけどこれはあんまりだ。
悪いのは全て俺だが、加害者は他にも居る。
少しでも真実を伝えたくて、今迄の罪を全て話した。
だけど村主は何も信じてくれなかった。
今迄向けてくれていた全てを包み込む様な優しさが消えた。
声に態度に、殺意が篭った。
ああ、嫌われた。
そう悟った瞬間全てが崩れ去っていく音がした。
ガラガラガラガラ足元が壊れる。
立っている事が出来ない。
「……お願い…村主。信じて?」
絞り出す声。震えて上手く言えない。
「村主」
コチラを見ようともしない姿に目の前が真っ暗になった。
どうやって家に帰ってきたのか分からない。
気が付くと自分の部屋に居た。
机の引き出しを開け、手にするのは小さなお守り袋。
日野と仲良くなったばかりの頃お土産で貰った綺麗な石。大事に入れて保管していた。
あの時は楽しかったな。
どうしてこうなったんだろうな、俺。
何故あんなつまらない好奇心で傷付けてしまったのだろう。
俺がバカなせいで日野が死んでしまった。
村主にも嫌われた。
哀しくて情けなくて、もうどうして良いのか分からない。
「ごめんな、日野」
キュッお守り袋を握ると、泣きながら声に出した。
ともだちにシェアしよう!