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※第2話
「兄……様……っ、すご……い、きもち、いい」
「ァ、ッアアアッ、ハッ…………んッああ……おねッ……がい、あ、……あ、ああ、あゆみ……ッ……やだ…………やめ、ろ…あああ………」
普段のキリッとした王子然とした兄の姿はなく、拒絶の言葉とは裏腹に涙の痕が残る目元に蕩けるような表情を浮かべ、抗えずに胎内へと呑み込んだ欲を享受して腰をひきあげる。ひくひくと全身の肌を震わせて、淫らに腰が揺れ中を擦りつける様に動きを奥までねだるような動きを繰り返す。
あたたかい……すごい……。
これは、僕のものだ。
その欲望が何なのか、まったく彼は理解などしてなかった。兄は美しい鍛えられた肢体を、この身体の上で仰け反らせて、噎せ返るくらいに甘い匂いを纏わせて、声をあげてしゃくりあげる。
官能に支配されたように、脚を開いて欲望に溺れて身体を汗と体液に蕩けさせている。
尊敬と敬慕しか抱いたことのない、憧れてやまなかった彼が、まるで淫らな獣のようになり果て裸で跨り、声をあげて自分に赦しを乞いながら、腰を揺さぶり快感を引き出そうとしている。
「ご、ごめ、んッ……ッ……ッく、あ、ァア……ッく、あゆみ……ッ……ごめんな……ごめん……」
兄が必死で繰り返す謝罪の言葉も甘い吐息に消えてしまい、降ってくるような甘い匂いに彼は頭の中をぐるぐるに溶かされてしまっていた。
唇を合わせて舌先を絡めて吸い上げて、兄のすべて取り込みたいかのように咥内を舐めあげ唾液を飲み込む。
「兄様、すごい。ああ、きも、ちいい……ンあ、兄様、兄…さまの中……すっごいあっつい……わかる、ぼくが、なかにはいってる、にいさまも、きもちいい?」
すでに抗うこともなくきゅうきゅうと内部に埋められた肉を食んで、理性を飛ばした表情で腰をくねらせながら、問いかけに兄は答える。
「……ァ、ふ、ああッう…………あ、あァ、ああ、きもち……い……いい……なかッ、あ、ゆみ……イイッ……」
においの効果にか甘く蕩けた表情のまま、兄は弟に快感に溺れたような甘美な笑みを浮かべる。
ぐっちゃぐっちゃと熱に蕩けた肉を攪拌して、内部を抉りあげてはコツコツと叩き快感の波へと突き落とす。
もっと欲しいのだと両脚を拡げて、本能のままに腰を振り乱して淫らに悶えて咽び泣く兄に、次第に彼は夢中になっていった。
本能が、心が、身体が叫んでいた。これは運命だと。
この人のすべては僕のものだと。
この兄が、僕の運命の番だと分かってしまっていた。
目が覚めた時に、兄が目の前から消え去るだなんて、彼は、まったく知る由もなかったのだった。
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