5 / 5
第5話
熱い息を漏らす僕の唇を、翔太が塞ぐ。
されるがままに舌を絡めて、どっちのものかわからない唾液を飲み込んだ。
「…僕、もう無理…。疲れた、眠い…」
「ダメだよ。だって凪はまだ出てないだろ?」
「…え?何回も、イッた…よ?」
「ドライでだろ?だから、ちゃんと出すまで頑張ろうな?それにさ、俺がまだおさまんない…」
「う……」
それはわかってる。だって、俺の中の翔太のモノが、さっきよりも大きくなってるんだもん!
「凪のここ、俺の締めつけてる…。気持ちいいよ。それと、ああ…可愛いなぁ」
何が?と聞くまでもなく、翔太が蕩けた顔で僕のツルツルの股間を撫でた。
「あっ…!もぉっ、触るなよ…っ」
「え、無理。こんなにエロいのに、無理」
翔太の肩に手を置いて、無言で睨む僕に軽く口づけると、翔太が下から激しく突き上げてきた。
「あっ、あっ!もう無理だって…っ」
「凪っ、好きだよ!」
あ…、抱きながらそんなこと言うの、ずるい…。
ほんのさっきまで、僕の言うことを聞いてくれなくて、抱き続ける翔太にちょっと本気で怒りかけていたけど、今の言葉で全て許してしまう。
剃毛も許してしまったし、結局は僕の方が翔太を好きなんだろうなぁ…と観念して、翔太の首に腕を回して唇に噛みついた。
優しく髪を撫でられる感触に気がついて、目を開けた。
ぼやける目を擦っていると、「よく寝れた?」と言う翔太の声がする。
声がした方に顔を向けると、翔太が笑顔で僕を見ていた。
「…今、何時?」
「夜中の三時ぐらいかな。まだ寝てていいよ」
「翔太…、ごめん。僕、気を失ってたの?」
「凪が謝ることはないよ。俺が無理させたからさ…。ごめんな。凪があんまり可愛かったから」
「か、可愛くないし…。ていうか、何でそんなにニコニコしてるの?」
「だから、凪が可愛いんだって!何?凪の方が俺を好きなんだって?俺はさ、俺の方が絶対的に凪を好きな気持ちが大きいと思ってたからさ、そんなことを言われて、今、すっげー嬉しいんだよ。でもやっぱり、俺の方が凪を好きだけどな!」
ん?あれ?確かにそんなことを思っていたけど…。もしかして、声に出てたのっ!?
僕は、恥ずかしさで顔を熱くして翔太を見ていたけど、ふいに涙をポロリと零した。
「え?凪?どうしたんだ?」
翔太が、慌てて僕を抱きしめる。
僕は、翔太の胸に擦り寄って、ボソボソと話し出した。
「…嬉しい。だって、翔太を好きになったのも、誘ったのも、僕からだったから…。だから、僕は翔太をずっと好きだけど、もしも翔太に他に好きな女の人とか出来たらどうしよう…って、どこかで不安に思ってた。翔太は、ちゃんと僕を好きだって言ってくれるけど、もしもそうなっても仕方ないなぁ…って。なのに、僕よりも好きが大きいって言ってくれて、すごく嬉しいんだ…」
「はあっ」と大きな溜息を吐きながら、翔太が僕の頭に顎をつける。
「凪はさ、もっと自信持てよ。俺は、凪がいないともうダメなんだぜ。でもまあ、凪が不安なら、何度だって、いつだって言ってやるよ。凪、好きだよ。愛してる。俺は、凪にだけは甘えられるんだ。だから、これからも我儘を言うけど許して欲しい。その代わり、凪も俺に甘えて我儘を言って。凪の言うことなら、俺は何だって聞くよ?」
「翔太…」
また涙が溢れそうになって、翔太の服で顔を拭く。スズッと鼻をすすって顔を上げて、翔太と見つめ合って、ふと動きを止めた。
いや…、ちょっと待って。何でも言うことを聞く?じゃあ何でさっきのエッチの時、僕がもう無理だって言ったのに、聞いてくれなかったの?
だんだんと顔が険しくなる僕を見て、翔太が呑気に「どうしたの?」と聞いてくる。
「翔太…、さっきのエッチ、僕がもう無理だって言ったのに、やめてくれなかった…。言うこと聞いてくれてない…」
「あー…、エッチの時は聞けないよ。だって、凪が可愛くてエロくて止められないもん。あ、でも、もっとしてーとかの我儘なら幾らでも聞くよ?」
「……」
ニヤニヤとだらしない顔をした翔太を見てると、もうどうでもよくなってくる。
ほら、やっぱり僕の方が好きが大きいんだよなぁ…と小さく息を吐くと、首を伸ばして翔太の唇にキスをした。
【終】
ともだちにシェアしよう!