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第52話 ドキドキの夜*

 * * * 「ふ……あっ……ぁ……」  信じられないことに、森下くんの手が僕のを握っている。  浴衣はそのままで、履いていたボクサーパンツを太腿まで引き下ろされ、張り詰めた性器を手で包み込まれている。  ゆっくりと上下されると、しっかりと天を向いているその先端からとめどなく蜜があふれ、森下くんの指を汚していった。  僕は立てた膝をくっつけたまま、今まで感じたことのない鋭い快感に悶えていた。  気持ちいい。自慰の時よりもずっと感じる。  森下くんは空いた僕の首筋を唇でなぞっていく。  少しずつ箇所を変え、柔らかく吸うみたいにちゅっ、と音を鳴らして。 「はっ……あ……っ、あ──……」  くびれの部分を執拗に弄られると弱い。敏感になっているそこは、少しの指の動きでも反応してしまう。  ひくんと性器が揺れ、先走りがとぷとぷとあふれ出るのを見て、森下くんは熱っぽい息を吐いた。 「すごいね……こんなに濡らしてる」 「ん……っ」  そんな、僕が変態みたいに言わないで。  しかしそれは口には出せず、恥ずかしい声を漏らすことしかできない。  今起こっているのは、現実なんだよな。  夢みたいだ。好きな人の目の前で、あられもない姿になっているだなんて。  今度は、布の上から胸の突起を親指でこすられた。  ジンとして、僕は大袈裟に声を上げた。 「あぁ……ッ!」 「わ、すごい。これ好きなの?」 「ふ、あ……や……っそれっ……いやです……っ」  ずり、ずりと衣擦れの音を鳴らして、そこばかりを引っ掻いたりしてくる。  柔らかかったのにあっという間に芯を持ち、浴衣の上からでも場所が分かるくらい、二個共しっかりと立ち上がっていた。 「──あ……っ! ……あぁっ」  はしたない姿の自分を見て、余計に腰が砕けた。  こんなにまで、感じたことはない。  自慰とは全く比べ物にならない。  怖かった。僕は一体、どこまで破廉恥な姿をこの人の前でさらけ出してしまうのか。 「ご……ごめんなさ……っ、僕、こんな……っ」  眉を八の字にさせて泣きながら謝ると、ふふっと笑われた。 「いいよ。気にしないで。俺、店長のこと変だなんて思わないよ」  ぐり、と先端を割って中に指の腹を押し込められたら、目の前に星が散り、もう限界なのだと思い知らされる。 「や……っ……ん、もぅ……っ許して……」 「イッちゃっていいよ。イッて? 俺の手で」  優しく、暖かく。僕の顔を覗き込んで、何にも心配はないと、目の前の彼は言う。  僕は涙の雫を弾けさせながら達した。  森下くんの手の中に、熱い欲望を放った。 「……んん……っ、ぁ……ん……っ」  足も腰も、ガクガクと震えている。  はーはーと荒く呼吸を繰り返しながら、ふと自分の口元に手をやると、唾液が口の端から一筋漏れていた。  こんな風になるくらい、僕は君に溶かされていたのか。  恥ずかしい。けれど、すごく気持ちが良かった。  森下くんが後処理をして、浴衣もきちんと着させてくれた。  様子を伺っていたけれど、森下くんは寝転がる僕の頭を「すっごい可愛かった」と言って撫でてから、自分の布団に入ってしまった。 「もう、日付変わっちゃった。このままじゃ、朝ごはんの時間に起きれなくなっちゃうかもね。もう寝ようか」  またにっこりと目を細められたので、素直に頷いてしまったけれど。  されっぱなしで、僕は君にしなくていいのかな……。  目を閉じられたので、声をかけるのも悪い気がした。  暫くしたら、森下くんの寝息が聞こえてきたので、僕もようやく冷静さを取り戻していった。  (どうしてこんなことに……)  逃げないならしちゃうよ、という話から始まったんだっけ?  あぁ違う、しても逃げないじゃん、という話か?  いや、それよりも遡ると、事の発端は森下くんの告白が始まりで……。  僕は彼を受け入れたということで、いいんだろうか?  ここまでさせておいて、まだそんなことを考えている自分がいた。

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