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第53話 ドキドキの朝①*

 ふと目を覚まし、上に手を伸ばして手探りで眼鏡を探す。けれど見つからないので起き上がると、森下くんがまた肘枕でこっちを見ているのに気付いた。 「おはようー」 「えっ!! あ、おはようございます……」  まさか起きていただなんて。  不意打ち過ぎて心臓がバクバク言っている。眼鏡を掛けて時間を確認すれば、まだ朝の六時前だった。 「早いんですね。朝ごはんは七時半でしょう」 「うん。昨日の店長が可愛くて、ぐっすり眠れなかったんだ。店長の寝顔ずっと見てた」 「忘れてください! 寝顔も、昨日の僕も今すぐ!」  照れてしまい、もう一度布団の中へ潜り込んだ。  耳をそばだてていると、森下くんが上半身を起き上がらせた気配があった。 「そうだよね。忘れた方がいいかな」 「……」 「俺が勝手に突っ走っちゃって。店長の反応見てたら、止まんなくなっちゃった。ごめんね」  そんな、まるで本当に無理やりしたみたいな言い方。  そんなんじゃないのに。  僕は森下くんに触れてもらえて、すごく嬉しかった。  じゃあ、君は?  僕が触れたとしたら、君は嬉しいんだろうか。同じような気持ちになってもらえる?  僕も上半身を起き上がらせ、同じ目線になる。  決心が鈍る前に、伝えなくては。 「あの……」 「なに?」  いつの間にか提灯型の照明の灯りは落ちていたけど、少しだけ部屋の中に陽が差し込んできている。  完全な暗闇ではないのに、今から言うことを君は受け入れてくれるだろうか。 「……僕も、したらダメでしょうか……昨日、君が僕にしてくれたこと」 「……僕もって」  森下くんは目を瞠った。  一方的に快楽に溺れてしまい、されるだけされて終わりなのは申し訳ない。 「い、いやだったらはっきり言ってください。僕は君と違って、やめろと言われたらちゃんとやめます」 「だからさ」  座ったまま横向きに抱きしめられ、体が彼の方へ傾く。 「やめろとは言ってなかったよ、店長」  そのまま後ろへ押し倒され、お互い横たわって向かい合った。  大きな手で、僕の黒髪を梳いてくれる。それだけでもう充分に愛を感じた。 「俺、嬉しい。そうやって言ってくれただけで反応しちゃったよ」 「……あ」  導かれるように手を引かれ、足の間に持っていかれた。  もう既に軽く兆している。薄い生地の上からだとすぐに分かる。  森下くんはますます笑顔になって、僕にキスの雨を落としてきた。 「触って? ゆっくりでいいから」 「は、はい……」  その膨らみを、言われるがまま撫でさする。  上から下へゆっくりとこすると、それがまた少し大きくなった。  いつ、パンツの中から取り出そうかと悩んでいたら……彼に僕のも同じように手で包まれてしまった。 「──えっ」 「せっかくなら、一緒にしよ」  せっかくって、どういう……  疑問に思っていたら、あっという間に昨日みたいに上下にこすられてしまった。

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