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第78話 お気遣い*
「どうしたのいきなり。ごめん、やっぱりちょっと痛かった?」
心配そうに僕の涙を拭う森下くんに、僕は笑ってかぶりを振った。
「いいえ、さっきからすごく気持ち良くって、本当にどうにかなっちゃいそうで」
「そう。なら良かった」
森下くんは、あぐらをかいている自分の膝の上に座らせた。
僕は両足を広げて、はしたないけど森下くんの腰に巻きつける。互いのそれがぶつかり合っているのを認識しつつ、ぎゅうっと抱きしめあった。
森下くんの肩口に額を押し付けながら、広い背中に手を回す。
肌のにおい、感触、弾力、引き締まった腹と、長い足。
もう、ほんとに好き。何もかも、嫌いになれるはずがない。
目を閉じてうっとりとしていたら、急に下半身に電流が走った。
目を開ければ、互いのものを両手で包み込まれて、上下に動かされていた。先走りの蜜が潤滑剤となっているので痛みなんてなく、あるのは快感だけ。
「あっ……ん、ん……」
「旅館でさ、店長が俺のをしてもいいかって言ってきた時、舞いあがっちゃったんだよ、俺」
「んっ……ぅん……」
「でも旅行の後、色々と辛かったなぁ。誘ってくれたかと思えば乃蒼ちゃんが代わりに来たり。俺を傷つけた責任、取ってよね店長」
「あっあ……ごめっ……なさ……」
冷静に謝りたいけど、森下くんのものと擦れるのが気持ち良くて、上擦った声しか出せない。
じゅっと卑猥な音が鳴って、また一気に射精感が沸き起こる。ブルブルと太ももを震わせていると、急にソレを強めに握られてしまった。
「あぁ……っ」
「店長の反応がいちいち可愛いから、いじめたくなっちゃうな」
ぶわっと顔が熱くなる。
いいよ、もっといじめて。
そんな風に思ってしまっている気持ちも、いつかはバレてしまうのだろうか。それとももうバレてる?
鈴口を親指でぐりぐりと擦られて涙がにじむ。
足を開いて座っているので、さっきからうしろが心許 なくてしょうがない。
森下くんが僕の首筋を吸っている隙に、僕は自分のお尻に手を這わしてみる。そこに指先が届きそうになる寸前で、慌てて引っ込めた。自分の変態っぷりにさすがに引くが。
でもはやく、森下くんと繋がりたい。そればっかりが頭にある。
「もり、したくん……」
「ん」
顔を上げた森下くんが、僕のことを真っ直ぐに見る。
「うしろ、自分で慣らすから、待っててください……準備が出来たら……君がいやじゃなければ、その……繋がりたい、です」
さっきからここを触ってもらえないのは、森下くんがノンケだからであろうと察した。僕のことは好きでも、ここを積極的に弄るのには少し躊躇するのだろう。
目を丸くした森下くんは一旦、足の間から手を離した。
「店長は、自分で弄 りたいの?」
「いや、そういう、訳じゃ……」
「じゃあ、俺が弄ってもいいよね?」
「え、だって、こんなところ嫌じゃないんですか?」
「何言ってんの? 店長の体で嫌なところなんてないよ」
森下くんは躊躇 なくうしろへ手を回し、僕の後孔の中へ指を入れてきた。
「あっ……ん──……」
「ごめん、早く触って欲しかった?」
「……ぅん……っ、ここ触るの、嫌なのかなって……だって君は、男と経験ないし」
「お気遣いどうも。そんな風に考える前に、して欲しいことは素直に言っていいんだからね」
ぐり、と中で回され身悶える。
そこを触るのを躊躇していたのではなく、じっくり時間をかけて僕の体を蕩けさせていこうとしていただけだったみたいだ。これまた自分勝手な解釈をして申し訳なくなる。
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