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第1話
どう表現したら良いかわからないけれど大きな声で叫びたいんだ!!
「郁(いく)落ち着けよ。」
「だって!だって明樹(あき)兄、夢にまで見たコンサートでさ!アリーナ最前列ど真ん中で興奮しちゃうよ!」
「ずっと楽しみにしてたからな郁。」
「明久(あきひさ)が協力してくれたから来れたんだ。ありがとう!」
僕は田舎に住んでいて街に来た事がなかった。
街に行きたいと父親にお願いすると身体が弱くて発作が起きるかもしれないからダメだと許して貰えなかった。
けれど高校の親友が僕を街に連れて来てくれたんだ。
それも僕が大好きなアイドルグループのコンサートにだよ。
ずっとテレビでしか観れなかった彼らが目の前で見れるなんて夢のようだよ。
「ありがとう!明樹兄。」
「何回目だよ。俺の友達2人が来れなくなったから
だ。もう気にするなよな郁。」
優しく笑いかけ頭を撫でてくれる親友の兄さん多田明樹(ただあき)。
僕より身長が高くて見上げる感じで一緒に歩くと皆んなが明樹兄を見たり振り返ったりとってもカッコイイ。
僕の憧れの人。
僕は七瀬郁(ななせいく)高校2年生。
背が低いから女の子に間違えられたりするのが悲しいし僕は普通のβで明樹兄はαだから憧れちゃうのかもしれない。
親友の明久は僕と同じでβ。
明久の家族は明樹兄以外は皆んながβだから家にいづらいと言ってαの明樹兄は大学に進学する時一人暮らしをすると言って街に出てしまった。
久しぶりに会えた明樹兄は以前よりカッコよくなっていた。
それも興奮する原因だったりなかったり?
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