「後１時間くらいだな。」 「うん。はぁ〜。もし夢だったら？始まって目が覚めたりしたらショックで泣いちゃいそうだよ。明久。」 「大袈裟なんだよ。それより周りが女の子多いから俺は恥ずかしい。」 確かに、男性のファンも居るけれど圧倒的に女性ファンだよ。 その女性ファンでも明樹兄を見て何か言っているのが聞こえてくる。 複雑だ。 けどさ、明久も明樹兄と同じ位の身長があってやっぱり明樹兄と同じ様に女の子達にモテるんだけれど明樹兄が隣にいると少しだけ劣るかな？ うわっ、僕は何を考えてんだ。 大好きなアイドルのコンサートに来ていて明樹兄の事を考えてるなんてコンサートに集中しろよ！ 「郁？大丈夫か顔が赤いぞ？」 「ふぇっ？だっ、大丈夫。」 うわぁ〜！ 明樹兄が僕の頭をポンポンしてるよぉ〜。 周りの女性達が僕ら２人を見て違う騒めきをした。 コンサートに気を取られていて毎日３回飲まないといけない薬を朝飲み忘れたうえに薬が入ったケースを自分の部屋に忘れたんだよ。 父親に知られたら怒られる。 父親は村で小さな開業医で僕の薬は父親が調合して作ってくれているから具合が悪くなっても他の病院で調合して貰えるか分からないんだよ。 それにさっきから身体が熱くて少しクラクラしてるんだ。 コンサート会場の熱気にやられたか興奮しすぎなのかな？