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第3話

「僕、トイレ行ってくる。」 「大丈夫か?付いて行こうか?」 「平気だよ。僕は小さな子じゃないんだ。席わからなくならないよ。明樹兄。」 「明樹兄さんは、郁に甘いよなぁ〜。俺には心配なんかしないだろ?」 「郁は身体が弱いんだ。当たり前だろ?」 「ヘイヘイ。なんだよ。」 なんだろう? 身体が弱いと言われて優しくされてると思ったら胸がチクチクと痛み出した。 僕を好きで優しくしてくれてたんじゃないかもしれないと思うと悲しくて複雑な気持ちになる。 「あれ?トイレこっちだよなぁ〜。」 まさかの迷子? 係りの人を探してトイレを聞こう! それにしても担当カラーの服を着てるから誰のファンだってのがすぐに分かるし同じ衣装を着てる女の子や小さな子供もいる。 僕の好きな男性ユニットアイドルは3人組だ。 赤色が愁吾(しゅうご)で歌もダンスも一番上手くて綺麗な顔立ちをしている。 黄色が優吾(ゆうご)で頭の回転が早くてトークが一番面白いしファンのサービスが良く笑顔が可愛い。 そして、僕の大好きな青色が慧吾(けいご)頭が良くてクールで冷たい感じがするけれど暖かくて優しい一面もある。 慧吾の目で見つめられたら僕はドキドキして息をするのも忘れちゃうんだ。 会ったことないからテレビの中の視線なんだけどね。 考えたら身体が火照り始めてきた。 やっぱり薬を飲み忘れたのが不味かったのかな? 前に飲み忘れた時は普段と同じ様に過ごせたから僕は今日くらい飲まなくても平気だと思ったんだ。 なんかフラフラして来た。

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