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第1話

幼い日に花火を見たげた。隣にいた綺麗な顔をした子の瞳の色が綺麗で見とれた。その瞳の色はアーバン(琥珀色)だった。 ◆◆◆ ルネとそこでは名乗った。 年齢も自分の経歴も全てフェイク。きっと、ここに居る全員そうだと思う。 「ルネ……とか言ったな」 目の前に居る男も本名も経歴もきっとフェイク。 ルネと呼ばれた男性はベッドに寝かされて両手は縛られて頭の上で固定されている。 ルネが寝かせられているベッドの端に座る男。 男の目付きは鋭いものの、顔は綺麗に整っている。でも、どこか冷たく冷酷な雰囲気も持つ。 男は手を伸ばしルネの顔に触れる。 「顔は殴るなって言ってたのにな」 フッと口の端だけで笑う男は親指でルネの切れた口元を撫でた。 触れられた瞬間チクッと痛みを感じたがルネはそれを感じさせないように平常心を保つ。 「やけに大人しいな?いつもはもっとお喋りなんだろ?どうした?俺が怖いか?」 ふふっと何故か嬉しそうな顔を見せてくる。 「……そんなわけないだろ」 「煽りには反応するのか、面白いな」 男はまたも微笑むが目が笑っていないので不自然だ。 「ルネ、色々と探ってたみたいだな。何か暴けたか?」 「何も?そもそも、僕は何も探ってはいない」 「まあ、直ぐに吐くとは思わないしな、殴る蹴るくらいじゃ吐かない事くらい分かってる。だから、殴るなって言ったんだけどな、顔に傷つくと価値が下がる」 この男が先程から「殴るなと言った」と言っているのはここの連中に捕まり拷問されかけたから。 腹や顔を数回殴られた時にこの男がやってきて、ルネを引き渡すように連中に言ったのだ。 連中はこの男を見た瞬間に驚き、震えていた。 「申し訳ありません」 敬語を使い、深々と頭を下げる光景をルネは見ていた。 ルネはこの男に逢いたかった。この男に逢う為に日本全国かけまわり、ようやくアジアの大きな街で見つけたのだ。 この大きな街を拠点に動いているマフィアの影のNo2。 ケイレブと呼ばれている男。 背が高くてロシア人の血が入っているとかないと噂がある。 容姿端麗で残酷。影でサイコパスなのではないか?と言われていた。そのケイレブにこんなに早く会えるとは思っていなかった。 最悪、会えないまま潜入がバレて殺される覚悟だった。 そのケイレブが自分のすぐ側に居るのだ。不思議な感じだ。 ケイレブは彼の身体のラインを見つめ、服の上から指先で撫でていく。 少しビクッとしてしまう。突然何?顔を触ったり、身体を触ったり。 彼は男色だと噂があった。やはりそうなのか?と思う。 だから、自分が潜入するのに選ばれたのだが、まさか本当に? ケイレブは突然動きルネの心臓の上に耳をつけると「何だ、ドキドキしていないのか?」とそのままルネを見て笑う。 「噂知ってるのだろう?男を好むという……」 胸に顔を置いたまま聞かれてルネは「噂が通りなんですか?」と聞き返す。 「確かめてみるか?」 ケイレブは身体を起こすと彼の着ているシャツを掴むと一気に裂いた。 ボタンが弾ける音が響き、やがて床にボタンが落ちる音がした。 そのいきなりな行動に流石のルネも一瞬、身体をビクリと震わせた。 ケイレブの手が腹にいき、そこをグッと押された。 「いたっ、」 思わず声が出た。ビリリと痛みが走り、顔が歪む。 「赤くなってる、肋骨は大丈夫そうだな」 肋骨辺りも触られ身体を反らそうとする。 「若いから骨が折れても治りは早いだろうがな」 ケイレブは裂いたシャツで隠れる胸を晒すようにシャツを退ける。 「若いっていいな、こういう所もまだ綺麗な色で」 と指先で乳首を掴むとクリクリと弄る。 「やめっ」 乳首を弄られ、ルネは声を上げる。 「殴る蹴るには無反応なのに……なるほど、こっちには弱いのか」 弱みを見つけたのが嬉しいのかケイレブは笑う。 「まさか、弱いんじゃない気持ち悪いだけだ」 ルネは睨みつけながらに言う。 「いいな、その目……好きだよ」 ケイレブの顔が近付いてくる。容姿端麗とは噂だけではない。本当に綺麗な顔をしている。 異国の血が混じるだけでこんなにも美しくなるのだろうか? 目の色がハッキリと見える。 まるで狼の目のようだ。琥珀色の目。 「アンバー」 つい、言葉にしてしまった。 昔、これと同じ目の色をした人を知っている。自分にとっては1番幸せだった時の記憶。 言葉を放った後に唇を軽く噛まれた。 ピクっと反応してしまう。あまり反応してしまうとまた弱みを見つけたとばかりに喜ばれる。 ケイレブの唇はそのまま首筋へと這っていく。 舌先がチロチロと小刻みに触れてくるから「んっ……」なんて出したくない声が出てしまう。 そして、首筋からピンク色の乳首へと移動してそのまま咥えられた。 「んんっ」 舌先が乳首を刺激してきて、もう片方の乳首も指先で弄られた。 我慢しなければと必死に声を我慢する。 暫く乳首をしゃぶっていた口は腹の上をつたう。 ケイレブは身体を起こすとルネが穿いているズボンを脱がしにかかる。 「やめ!」 確かにその先はそうなると分かっている事だが、実際に脱がされそうになると嫌だと声にしたくなる。

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