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エピローグ

「納得できません!」  ぷりぷりとマツバが怒っている。  彼の着衣はすでにきれいに整えてあり、放った精液はマツバ自身が綺麗にふき取った。アオキと梓も手伝おうとしたのだが、真っ赤になったマツバが断固拒否したのだった。 「ぼ、僕だけがあんな……」 「マツバ……ごめんって」 「マツバさん、すみませんでした」  アオキと梓が頭を下げるのを、アザミだけが笑って見ている。 「いいじゃないか。おまえも身を以って知れたんだし……それにおまえには前に、潮吹きを教えてあげただろう?」 「う……」 「え? なんですかそれ?」 「梓。耳を塞いで」  マツバがぐっと押し黙るのと、アオキが梓の耳を塞ぐのは同時だった。  いまさら梓を子ども扱いするアオキが可笑しくて、アザミは肩をくつくつと揺らした。 「ふふ……梓ももう、それほど子どもじゃないよ。おまえにはまた今度教えてあげる」 「ほ、本当ですかっ? 僕、頑張りますっ」  梓が両こぶしを握って、まっすぐな笑顔を浮かべた。  どちらかというまでもなく、ひとに言えないような憚りのある話題のはずなのに、梓があんまり屈託ないものだから、アザミもつい毒気を抜かれてしまった。  アザミは肩を竦めて、まだむくれているマツバへと声をかける。 「マツバ。そろそろいい具合なんじゃないかい?」 「あっ」  アザミの声に、マツバが慌ててティーポットを確認する。  結局、最初に淹れたお茶は冷めてしまったので、マツバが再び淹れなおしたのだった。    こぽこぽと濁りのないきれいな色の紅茶をカップに注いだマツバは、一番にそれをアザミへと差し出してきた。  アザミは、ミルクもシュガーも入れずに、鼻腔で匂いを堪能し、ひと口啜る。 「うん。美味しい。上手に淹れられてるよ、マツバ」    にこりと笑ったアザミの賛辞に、マツバの顔にようやく笑顔が戻る。  嫌味のない、可愛い顔で微笑んだマツバが、残りの三つのカップに、それぞれ紅茶を注ぎ、それぞれの前に置いた。    アオキと梓も、馥郁たる紅茶に口をつけ、口々に「美味しい」と言って微笑む。  アザミの出してきたチョコレートを摘まみながら。   四人は束の間のお茶会を楽しんだのだった。      END

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