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第22話
まだ完全には嫌われていない。
それを知って安心した。
なぁ、青葉。お前は今何をしてるんだ?
何故この前女性と一緒に居たんだ?
逢いたいよ。逢って色々話がしたい。
「青葉と逢いたい?」
「うん」
「そっか。ならさ、手紙書いたら?逢いたいって。今日使用人に使用済み袋渡す時にさ、その袋ん中に一緒に入れてたら絶対青葉見るぞ?」
手紙?
「読んでくれるかな?」
「当たり前だろ」
う~ん。
全く確信は無かったが、帰宅途中本屋の文房具コーナーでレターセットを購入し、手紙を書いた。
時雨が好きです。逢いたい。逢って話がしたい。シンプルにそれだけを書き、封をした。
何故学校に来ない?彼女は誰?色々聞きたかったが、聞く権利なんてない気がした。
ファミレスで三浦と一緒にご飯を食べ、別れ際に手紙を渡した。
ピンポーン、夜寝てたら鳴った呼び鈴。
夜勤の為母は居ない。
こんな時間に誰だ?
カチャリ扉を開くと
「時雨?」
青葉が居た。
部屋に招き入れ、お茶を出す。
「手紙……ありがとうございます」
読んでくれたんだ。
「……………………もう、逢ってくれないと思ってた」
小さく零れる声。
「それは俺の台詞です」
「……え?」
「貴方の手を振りほどいて酷い言葉を吐きました」
顔も見たくない。
言われた台詞が甦り目が潤む。
「すみません。あれは本心じゃありません。本当はずっと逢いたかったんです。でも顔を見たらまた酷い事を言ってしまいそうで…………怖かったんです」
謝るのは俺の方だ。
青葉は何も悪くない。
悪いのは全て俺。
我儘に欲張り過ぎた俺の責任だ。
「ごめん時雨。全部俺が悪い。凛茉と時雨どちらも選べなくて両方共傷付けた。本当にごめんな。俺狡くて最低だった」
「いいえ。元々千紗は白水先輩と付き合っていたのだから、迷って当然です。千紗が白水先輩を好きなのを承知で告白したんですし」
「それでもハッキリさせるべきだったんだ。時雨ごめんな。もう遅いかもしれないけど聞いてくれる?俺、時雨が好き。大好き」
「白水先輩は?」
「凛茉も好き。でも、凛茉とは別れた。時雨の方がもっと好きだって気付いたから」
「本当に?」
「うん」
「本当の本当に?」
「本当。時雨が好きだよ。大好き」
微笑むと
「…………嬉しい」
青葉は心底嬉しそうに笑った後、涙を流した。
『うまくいったろ?』
LINEで来た三浦からのメッセージ。
『うん。ありがとう』
送ると
『良かったな』
三浦は優しい言葉をくれた。
「何してるんですか?」
拗ねながら聞かれ
「三浦に無事仲直り出来たって報告した所。良かったなって、言ってくれた」
ふふふっ、嬉しくてニマニマしてしまった。
「内容が俺との事だから許すけれど、一緒の時は俺以外見ちゃ嫌です」
可愛い台詞に
「なら時雨も俺だけ見ててね?」
チュッ、唇を重ねながら強請った。
「せ~んぱいっ」
翌日から普通に登校した青葉。
休み時間になるなり速攻で教室に来た。
「ん~。先輩良い匂いします」
抱き付き匂いを嗅ぐ青葉を
「離れろ」
俺から引き離す三浦。
「俺は千紗に逢いに来たんです。三浦先輩には逢いに来てません」
「お前生意気」
青葉が復帰したお陰で前みたいに戻った関係。
「ねぇ時雨。これ分かる?」
「あっ、コレはこうですよ」
「鳴海、何お前年下に質問してんだよ?俺に聞け」
「大丈夫です。俺三浦先輩より頭良いですから」
「はぁあ!?お前マジふざけんな」
なんかスッゴイ楽しい。
3人で仲良くだべっていたら
「あ~もぉ。なんなの一体。みうちゃんズルイ。これじゃあ意地張ってる僕がバカみたいじゃん」
凛茉が叫んだ。
凛茉?
「僕だってかずちゃんと喋りたい。かずちゃんの側に居たいもん」
ヒックヒック。一気に泣きだした凛茉。
「凛茉」
名前を呼ぶと
「青葉くんを好きでも良い。側に居てよ?」
弱々しい声でお願いされ
「なら凛茉。俺の親友になって?」
手を差し伸べた。
「…………うん。なる。それで側に居れるのなら、親友になる」
握り返された手。
微笑むと
「かずちゃん大好き」
漸く久しぶりに凛茉は俺に笑顔を見せた。
青葉と無事恋人になり、凛茉とも親友になれた俺。
三浦も一緒だし、皆で居ると幸せだ。
因みに以前一緒に居た女性は取り引き先の社長で、いつも何かとくっ付いてくるらしい。
それとなく逃げてるけど、気が付くと密着されてて、強く拒絶したら会社的に困るからと、あんな感じになっているらしい。
他にもやたらベタベタしてくる人が多いらしく、ストレス溜まるらしい。
って、逃げて。青葉マジそれ狙われてるって。
………………やっぱり女って怖い。
「なぁ時雨。大学って何処に行かされるんだ?」
確か親に決められてたよな。
「T大です」
……うん。そうか。そうだろうな。偏差値高いもんなアソコ。
でも今から必死に頑張れば目指せない事はない。
「なら俺も其処行くから。先に行って待ってるから、だから一緒の大学行こ?」
高校だけで終わりなんて嫌だ。
もっとずっと一緒に居たい。
「はい。一緒に行きましょう」
未来を約束した。
これから先何が起こるか何て分からない。
もしかしたら受験に失敗するかもしれないし、青葉が会社の手伝いで遠くに行くかもしれない。
けれど俺はずっと青葉が好きだ。
今度こそ放さない。離したくない。
繋いだ手は一生、俺だけの物。
チュッ、青葉にキスをしながら
「大好き」
愛を囁いた。
【後書き&今後の閲覧についての注意事項】
閲覧ありがとうございました。
此処で四角関係な本編は終了です。
青葉 × 千紗の幸せENDのまま終わりたい方は此処迄で閲覧終了になります。
此処から先はヤンデレ要素が増えます。
凛茉は親友になった為戦線離脱しましたが、青葉VS三浦の三角関係に突入します。
R18っぽい要素もダークな展開もあります。
なので、続きを読むか読まないかは自己責任でお願い致します。
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