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七章
胸にかぶりついて、ちぎれそうな勢いでギリッと歯を立てた。
「……んあっ…!」
痛みに呻き声を上げるのも構わなかった。
興奮に咳込みが止まらなくなる口を押し当て、息遣いさえ奪うようにも口づけて、
その身体をあばいて、自分の服も脱ぎ捨てた。
だが……
どう愛撫しようとも、ぴくりとも反応はしなかった……
感じない萎えたままの下半身に、「ククッ…」と笑いが漏れた。
わかっていた……俺に気を許そうとしている彼には、
感じられるはずもなかった……。
「……帰れ。気分が悪い、帰ってくれ……」
彼の身体を押しやってどかし、「帰れよ……」とくり返した。
無言でベッドを立って、
「……いきなり来て、悪かったな…」
申し訳なさそうにも口にするのに、
「……こんな時にまで人がいいのも、いい加減にしろっ!」
と、怒鳴りつけた。
「……悪かったな…」
何が悪いのかもしれないまま同じようにも言い残して、彼が部屋を出て行くと、
以前に家へ送って行った時のようにもまた、無意識の涙が流れて、
枕に突っ伏すと、
「……くそっ…!」
誰にともなく毒吐《どくづ》いて、ギリギリと歯噛みをした……。
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