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七章
「あっ……」
声に出して、身体を離した。
自分のしでかした行為に呆然とする。
下半身に跨ったまま、身じろぎもできずにいるのに、
「……各務…」
声がかけられて、顔を向けた。
「なぜ…………」
呟いて、
「……なぜ、拒まなかった……」
彼のせいでもあるかのように口にした。
「……え…?」
疑いの浮かぶ目を見下ろして、
「……どうして、俺の思うままにされている……」
睨み据えると、
「……何を言っている……」
と、ますますわけがわからないという眼差しで見返されて、
「……俺に、慣らされたのか?」
と、尋ねた。
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