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ぴちゃん ぴちゃん 水滴が滴る音が、やけに大きく感じる それは今いる空間が静かすぎるからなのだろうか なんの音だろう… 湊は重い瞼を少しずつ開いた。 ここはどこ? 目を開けると、そこは見知らぬ場所だった。 周りは沢山の植物が生い茂っていて、朝露が葉の先端から滴り落ちていた。 それはまるで、一つの絵画の様に美しく、見た事のない風景に湊は目を離す事ができなかった。 そして微かにだが、潮の香りを感じる。 「ここ…知っている気がする…。でも思い出せない…っ…!」 来た事などないはずなのに、なぜか知っている景色だと思った。 激しく痛みを増す頭を押さえながら立ち上がろうと、近くの木に手を伸ばす。 「え…?」 だが、伸ばした手は、最初からそこに何もなかったかのように木をすり 抜けてしまった。 う…嘘… 湊はバランスを崩し、前のめりに倒れる。 倒れた先は勾配のある坂になっていて、バランスを崩した湊は、勢いよく転がり落ちた。 「ッあ…ううッ…!」 頭を手で庇い転がり落ちた体は、一番下に到着したようで体が止まった。 「っ…いたた、なに…?」 湊は頭を擦りながら体を起こす。 そして、目の前の光景に息を呑んだ。 転がり落ちた先に見えたのは、今までに見たことが無い程美しい絶景が広がっていたのだ。 「わぁ…!すっごく綺麗…!」 目の前に広がる360度一面の海。 夕日の赤が絶妙なコントラストを作っていて、あまりの美しさに目が離せなくなってしまった。 ――なんて綺麗なんだろう。 そんな余韻に浸る隙もなく、微かな音が湊の耳に届いた。 ズサササ…ズサササ 「ん?」 何かが砂浜を引きずっているような音が、波の音に紛れて聞こえる。 湊は音の正体を探す様に辺りを見渡した。 すると数メートル程離れた砂浜に、人が這いつくばって体を引きずりながら動いている姿が見えた。 真っ白の砂を手でかき分け、必死に体を引きずらせ、前に進む小さな物体は大人にしては小さい。 目を凝らしてよく見れば、その人物は子供だった。 「あれは―…」 湊はなぜか、その少年から目を離す事が出来なくなった。 誰? なんだろう…この光景…俺、知っている…。 やっぱりだ。 始めて見た光景のはずなのに、知っている場所な気がする。 途端に激しい頭痛が湊を襲ってくる。 「ッ…!!」 まるで何かを思い出そうとすると、それを拒むように頭痛がする。 実際にこの場所に来た事があるかと聞かれれば、全く見覚えのない場所だ。 でも、不思議な感覚。 知らないけど、知っている…そんな感覚なのだ。 ――この懐かしい感じは何だろう。     

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