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「その“何か”とはなんだ?湊の体に影響するものなのか?」 「いえ…それは精密検査をしてみないと、なんとも言えません。長時間型睡眠薬は最大でも24時間のものしかございませんわ。なので、24時間以降…つまりこの薬を飲まされてから現在の時刻で恐らく3時間は経っただろうと報告が来ておりますので、21時間経っても目が覚める事がなければ…何かしらの薬を混ぜられていると考えられます。その場合は早急に処置しなければいけません。」 龍司は悔しそうな表情を浮かべ、両手の拳を握った。 「そうか…。すぐ処置をすれば問題はないのか?今直ぐに目覚めさせる事は出来ないのか?」 「…出来なくはありませんが、他に別の“何か”を混ぜられている場合、強制的に目覚めさせるのは副作用のリスクが高くなるでしょう。…そもそも睡眠薬とは、基本的に対象の人間を強制的に眠らせる薬です。要は、脳機能を低下させ睡眠導入するもの…。長い時間であればあるほど副作用が出る物もございます。それは記憶障害や、最悪脳死の危険性もあります。先ほども言いましたが、違法の薬品やオリジナルの薬品などが混ぜられていれば、そのリスクは非常に高まります。特に、T01の事です、合法の既製品の薬品を混ぜる事は考えられないかと…。」 「…。」 龍司が唇を噛みしめる。 なぜ、湊ばかりがこんな目に合わなければいけない 誰よりも優しく、誰よりも心が綺麗で、光のような存在の湊が…。 やりきれない悔しさが込み上げてくる。 あの時、百合亜姉さんが殺された時に心に決めたはずなのに。 湊は何が何でも、自分がどうなろうと護ると… いや、その前から―… 吸い寄せられるように湊に近づけば、龍司が湊の頬に手を添えた。 「セリ、湊を必ず…」 「社長、分かりきっている事ですわ。お言葉ですが、どのような症状でも(わたくし)が治せない症状はございません…必ず湊様をお助けいたします。そのために私がいるのです」 龍司の発する言葉が分かったのかセリはにこりと微笑むと、右手を腹部の前に添え頭を下げる。 龍司は、静かに頷くとふらつきそうになる体を必死に堪えながら、ベッドから少し離れたソファに腰を下ろした。 ソファに吸い取られる様に全身の力が入らなくなる。 背もたれに頭を乗せ、天井を見つめれば、思い浮かぶのは湊の笑顔。 切なげに眉を寄せれば、ふぅ…と深呼吸し、目を閉じる。 ―――龍司! 「湊…。」 瞳を閉じても浮かんでくるのは湊の笑顔。 早く目を覚ましてくれ…龍司が強く思う事はそれだけだった。 「社長…少し休まれた方がよろしいですわ。疲れが感じとられます…湊様の事をお考えで睡眠を取っていないのでは…?」

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