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その後、百合亜と湊は龍司の元に姿を現す事はなかった。 ――――――・・・ 「龍司!!お前がなにか動いたんじゃないだろうな!?百合亜がいなくなった!!朋也くんと湊も一緒にだ!!!一体どういう事だ!!!!」 「あなたっ!百合亜ばかり可愛がっているからって、妬んで百合亜をどこかに連れ去ったんでしょう!?答えなさい!!私の…私の大事な百合亜をどこに連れて行ったの?!」 洸太郎と亜矢子は、百合亜がいなくなったのが分かるとすぐに龍司の元にやってきた。 なんの証拠もないのに、なぜにすぐに息子を疑うのか…親としてどうかと思う。 洸太郎と亜矢子に問い詰められるたびに自分ではない事を主張したのだが、2人は一向に龍司の話を聞こうとせず、ただただ問い詰めるばかりだった。 毎日毎日、朝も昼も夜も、龍司を見かければ百合亜の事を問いただしては怒鳴るのが習慣になってしまっていた。 いい加減、精神的におかしくなりそうだ。 ―――なんであの人達は、おれの話を聞いてもくれない? 大切な百合亜ねえさんに、おれがなにかするなんてありえない―…。 あんたら両親よりもずっと大事な家族だというのに。 「…龍司。いい加減、百合亜と湊をどこにやったのか吐きなさい。」 「…はい?」 夜、いつもと同じように仕事が終わり、家で食事をとっていた龍司は洸太郎から投げかけられた問いかけに、動かしていた手を止める。 龍司の返事が気に障ったのか、洸太郎の向かいの席で食事をしていた亜矢子が持っていたナイフとフォークを置いた。 金属のぶつかる音が部屋に響き、同時に空気が張り詰めたのが分かる。 「そうよ、龍司。あなたがやった事はもう分かっているの。…百合亜と湊、朋也さんがいなくなってもう3年が経ったわ。警察にも捜索願を出したのに一向に見つかる気配もない…。月嶋社長も探しているけど、居場所が特定できなくて相当なショックを受けているわ。」 「……。」 だから、なぜ俺に聞く? 地下室を爆破したのはおれだが、家自体を燃やして百合亜ねえさんと湊を連れていなくなったのは朋也自身が行動をしたからだ。 おれだって、朋也がなぜ家を燃やして消息を絶ったのかが分からないと言うのに。 「父上、母上。おれは百合亜ねえさんに何もしていません。再三言っていますが、おれの話を少しは聞いてもらえませんか?」 「お前の話など聞きたくはない聞く必要がない。お前に何の話があるというのだ?」 龍司の言葉に洸太郎が睨みつけるようにして見てくる。 タイミングが悪い事に仕事も多忙になってきた事に加え、百合亜と湊を一気に失くした事で、その表情は以前よりも大分やつれた様にも見える。 髪は白髪が混じり始め、目の下にはうっすらと隈が出ていた。 疲労感が漂っていて、一気に老いた様に感じるほどだ。

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