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side:ドS上司
「ロイさん、さっきの画像消してください」
「えー。んー、」
アッシュは必死な顔でお願いという名の抗議をしにやってきた。
別に消してあげても良いんだけど、それだと何だかつまらない。
何かないものかと思案した結果、ロイは1つの遊びを思いついた。
「……?」
「じゃあ、アッシュ君は居残りねー」
「やっぱりいいです」
思わず笑ってしまったのがわかったのか、警戒心むき出しの表情で断りを入れてくる。
「だぁめ。ちゃんと残らないとばら撒くよ」
勿論本気ではないが、ここで諦められてはつまらないので割と強めに釘を刺してみるとアッシュはあっさり頷いた。
「……分かりました」
ホントこの子は従順というか諦めが早いというか。
こんなんで大丈夫何だろうかと思ったが、都合が良いので黙っていることにする。
どうせキイトが困るだろうと人の心配をしているのだろう。
「で、ロイさん。何で俺だけ居残りなんですか」
なんとか渋るキイトだけを帰した後、アッシュはロイに声をかけた。実は今か今かと待っていたロイはニコリと笑いかけると待ってましたと言わんばかりにその両肩を掴んだ。
「アッシュ君、僕ともしようか」
「はい?」
言っている意味がわからないとでも言いたげに、アッシュは素っ頓狂な声を上げた。その胡乱げな表情が面白い。
「だから、僕ともキスしよっか」
「え、」
色々聞かれると面倒なのでロイはすかさずアッシュの身体を端の方へと追いやった。
「いや意味がわからないんですけど」
「んー、なんか楽しそうだったから僕ともして?」
コテンと可愛らしく首を傾げればアッシュはどうしたらいいのか分からなそうに困惑の表情を見せる。
普通なら断れば良い話なのだが、そこで嫌と言えないのがこの子だ。
戸惑っている間にグイグイと押しやり、逃げ場をなくしていく。
テーブルにぶつかって初めて気づいたのか、びっくりした顔で後ろを見ている。
「ちょっと、ロイさ」
「していい?」
これ以上後ろに下がれない。さてどうするのかなと観察してみると、視線が右へ左へとうろうろし始める。
明らかに困惑しているのだろう。
しかし口に出さないのが面白い。
もうひと押しかな?
「キー君と出来るんだから僕とも出来るでしょ?」
「いやどう言う理屈…」
「……ふーん、してくれないならこの画像、君の弟分達に送りつけようかな」
「すみませんするんで勘弁してください」
送りつけたりしたらこちらがあの2人から大目玉を食らう。アッシュはあまりわかっていないようだが、あんなに甲斐甲斐しく世話を焼くなんて普通あり得ない。あの二人組とアッシュの結束は妙に硬い。一種の依存関係にも似ている。
お互いがお互いのガードを張り、変なものは排除しようと目を光らせている。
まぁ、今は気づいていない方が都合がいい。
「はいじゃー、口開けてー」
「分かりました!分かりましたけど……!俺あれ苦手で……」
「そんなことは分かってるよー?だからしたいの」
昔から嫌がられれば嫌がられるほどついしたくなってしまう性分なのだ。特にこの子はすぐに泣く。その顔がまたロイの征服欲を満たしてくれる。
何よりアッシュは絶対にこちらへ好意を向けない。
彼の一番は弟分2人で、あとは割とどうでも良いと思っている節がある。きっと根本的な所で人への興味が薄いのだろう。
だから嫌なことがあってもすぐに忘れる事が出来る。ロイからすれば都合の良いことこの上ないことだが。
「でもまぁ、気持ち悪くならない方法も目星はついてるんだけどね」
トン、とアッシュの口を指差す。
「要は口の中に物が入るから嫌なんでしょ。君が舌をちゃんと出せば解決だよ」
「そう上手くいきますかね」
「そればっかりはやってみないとねぇ」
だからお口開けて、と言うとアッシュも観念したようだ。
恐る恐る舌を出す様子が可愛らしい。しかしそれではまだ足りない。
「だぁめ。もっと出して」
「うう」
気恥ずかしそうに舌を伸ばしている様は見ていて楽しい。
もう少し遊んでいたいところだが、それでこの子の気が変わったのでは困る。まぁ、その気にならなければ無理矢理すれば良いだけだが今は自主性が欲しい気分だった。
ロイはアッシュの舌先に自身の舌を絡める。
「っ、ん」
意識していたのか、反応がいい。普段ぼうっとしている彼にそんな反応をさせたと思うと楽しかった。
「んぁ、」
横から、裏を通って先端へ。そして先端にちゅっと吸い付く。
慣れるまでは口内へ入れない。その分、先の方を突いて煽っていく。
「は、ぁ」
熱い息を吐いているということは大方成功だということだろう。
多分、吐き気が起こるのは舌側を押されるからだろう。ならばそちらに触らなければいい。
案の定、吐き気は起きないようだ。ただ、逆に吐き気が起きないことに動揺しているらしい。
「もすこし、口開けて……ん、いい子」
あちこち散々なぞった後、ロイは次のことを要求した。
なんだか良く分かってなさそうな顔をしている。
まぁいいやとそのまま上顎をなぞった。
「ふ、ぁ」
理解出来ないと言った表情だろうか。
困惑し涙を流す表情 は見ていてゾクゾクする。
あれだけロイを警戒し牽制している2人から兄貴分を奪い取ったという優越感もロイを満たしてくれた。
嫌がられる程、先を求めたくなる。つい夢中になってしまい、気がついたら押し倒していた。
向こうも力が入らないのか、殆ど抵抗なく倒れる。
「……はぁ…ぅ、ん……っ」
「だぁめ。こっち向いて」
苦しいのか、顔を逸らされる。
まだ駄目だ。満足出来ない。
何度も角度を変え、吸い付き、なぞる。
一通り終えて口を離す頃、アッシュは完全に脱力していた。
「……どう?気持ち悪い?」
「……見ての、通りです……」
勿論見れば分かるのだが、つい意地悪く聞いてしまう。
悔しそうな表情が堪らない。
「うん、良かったみたいだね」
「ちょ、どこ触って……!」
するりと股間を撫でれば慌てて起き上がる。アッシュのそれは兆し始めていた。あれだけすれば当然の反応だろう。
「気持ちよかった?」
「……な、」
真っ赤になって逃げようとする腰を捕まえ、片腕を引く。
くるりと後ろ向きにするとそのままシャツをまさぐった。
「ちょ、何……っ」
「んー、流石にまだ感じないかぁ」
何故胸を触られたのか理解出来ないらしい。
きっと男でも性感帯になり得ることを知らないのだろう。
「じゃ、こっちで」
「ひ、!!」
胸の方に気を取られているうちに反対の手で股間をまさぐる。ついでにズボンも緩め、反応しかけたそれを直接握る。少し強めにすると悲鳴が上がった。
「ちょっとロイさん!」
「んー?」
「んー、じゃないです!は、離してください!」
怯えているのか、それとも緊張しているのか。少し上ずっている声はどちらとも取れるものだった。
「でもさぁ、帰る前にどーにかした方が良くない?」
「じ、自分でどうにかします……!」
わたわたとロイの腕を引き抜こうとするが、そもそもの腕力が違う。アッシュが腕を引いた所でロイの腕はビクともしなかった。
「ふふ、やだ」
「う、ぁ……やめてくださ、い!」
グリグリと亀頭を弄ると腰が引けたままアッシュは悲鳴を上げる。
嫌がられると、やめられない。
「まぁまぁ」
「まぁまぁ……じゃないですよ!」
「もう、うるさいなぁ」
「い……ったぁ!!」
ロイはアッシュの肩口に思いっきり噛み付いた。上がる悲鳴が心地いい。 怯えた声もいいけれど、どちらかといえば痛がる声の方が好みなのだ。
すぐ口を離すと噛み跡がついた肌をベロリと舐め上げる。それがまた痛いらしく、アッシュから引きつった声が漏れ出た。痛いのか、すすり泣く声が聞こえる。
「見せて」
その顔が見たくなって今度は顎を掬って無理やり後ろを向かせた。
驚愕と、羞恥と恐怖。そんなものが合い混ざった表情。
やっぱりこの子はいいなと思わず笑みがこぼれる。
「よがってるのも良いんだけど、やっぱりこういう顔のが好きなんだよね」
「い゛……いたい、痛いロイさ……!」
ぢゅ、と首筋に過剰な程吸い付くとアッシュがまた悲鳴を上げた。
ロイは昔から物を壊すのが好きだ。
いや、語弊がある。好きになればなるほど、それが大事であればあるほど、壊したくなる衝動に駆られる。
勿論、玩具も人間も壊したら元には戻らない。
「あぁ、ごめんごめん。痛かった?」
「ふ……うぅ……ぐす……」
何が起きているのか分からないのか、アッシュはぐすぐすと本格的に泣き始めた。
目を合わせないよう、後ろを向かせられたまま無理やり手の平で顔を遮っている。泣くのに合わせてアッシュの肩が跳ねた。
反射的にその腕を掴み上げると覆いを無理やり引き剥がす。
手首の軋む音が聞こえた気がしたが、あまり気にする余裕はなかった。
覗き込んだアッシュの顔は涙でぐちゃぐちゃになっている。怖いのか、それとも泣きすぎたせいなのか、口元からはカチカチと歯が鳴る音が聞こえた。
思わず彼の耳元に唇を寄せると囁いた。
「あんまり泣かないでよ……興奮するだろ」
――怯えた声を聴くと最高にゾクゾクする。
吐く息にも熱がこもる。自分でも悦に入った顔をしているのが分かった。
「……ひっ」
それを見て、アッシュの喉から引きつった声にならない悲鳴が漏れた。しかしそれもまたロイにとっては心地いい。
興奮のまま目の前の唇に噛みつくようなキスをするとアッシュが息苦しさに呻いた。
怯えているからか、手だけでなく口の中まで冷えていて気持ちがいい。
この子を壊すのは簡単だろう。
囲って閉じ込めて、2人から引き離せばいい。
そうして散々泣かせればきっと簡単に壊れてしまう。
痛みで歪んだ表情は見ていてゾクゾクする。
けれど、まだ壊すには早いのだ。
もう少し。
「……っは、ぁ」
散々アッシュの口内を弄ぶとロイはやっと唇を離した。
そうした後ですぐにいつもの食えない笑みを浮かべると再び耳元に唇を寄せる。
「……なんてね。ごめんごめん。怖かった?」
声を出せないままアッシュがコクコクと頷く。
――もう少し
「ごめんね。ほら、気持ち良くしてあげるから許して?」
「や、ぁ……あぁ!」
そういうとロイは再びアッシュのそこに手を伸ばし扱き始めた。
それを止めようと腕を引っ張られたがすぐにそれるだけに変わった。
多分あちこち痛いのだろうなと思うとまた笑みがこぼれる。
その間にロイはグリグリと鈴口をなぞり擦り上げた。
ついでとばかりに後ろから口付けると上顎をなぞる。
「うん、……ふっく!」
無理やり後ろを向かされ、苦しさと息苦しさでアッシュは呻き声を上げる。ロイはその様子を見てまた目を細めるとそっと囁いた。
「気持ちイイ?」
「ひぁ……!やめ」
ビクビクと震える仕草に絶頂が近いのを察してスピードを上げる。
「……あぁ!や!そこ……!」
「嫌じゃないでしょ」
出てきた先走りを塗りこむように先端を擦ると泣き声にも似た悲鳴が上がる。
「ん、イっていいよ」
「あぁ……っ、ぁ!」
ぐりっと鈴口を押すとアッシュは耐えきれずそのまま達した。射精に合わせて身体がビクビクと跳ねる。
「……っぁ、あ……」
かくん、と膝が落ちたのですかさずその腰を片腕で抱き上げた。
「おっと、良すぎちゃった?」
「……な、何……してんですか……」
ハァハァと肩で大きく呼吸をしながらも呆然と尋ねられる。
「んー、つい?」
壊すには早いから。
今日はこのくらいで我慢しておこう。
「ついって!」
「あははは、でもこれで交換条件ね」
はい、と言って先ほど撮った画像を消去する。
消すとアッシュはホッとした顔をして肩の力を抜いた。
まぁ、複製 していないとは言ってないが。
「…………はぁー」
「ごめんごめん。ついその気になっちゃって」
許して?と悪びれもなく言えばこの子は許すのだ。
きっと、ロイ以外が言っても同じように許すのだろう。
そのことにほんの少し不満がある。
それに違和感を感じながら、ロイは知らぬふりをしてニコリと笑った。
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