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告白。
「待ってスターリー。貴方に聞いてほしいことがあるんだ」
ベイジルは乱れた息を整えながら、自分を組み敷く彼に告げた。
「何かな? 愛しのベイジル」
彼は口角を上げて笑みを作ると、今にも弾けそうなほどに高揚している楔を魅惑的な後孔から引き離した。
ゆっくり話ができる体勢をとるために華奢な腰をベッドに落とせば、彼も根気強くベイジルに付き合ってくれる。
彼が纏う空気が若干冷たい気がする。けれども表情はなかなか話を切り出そうとしないベイジルを急かすことなく、天使のような美しい微笑を浮かべている。
苛立ったように見えたのはきっと気のせいだ。
ベイジルは胃から酸っぱい物が込み上げてくるのをぐっと抑え、いつの間に溜まったのだろう口内の唾を飲むと口を開いた。
「赤ちゃんができたみたいなんだ。今日、病院に行ったら三ヶ月だって言われた」
彼はきっと喜んでくれる。
そう思ったからこそ、ベイジルは打ち明けた。
彼に抱かれた後はいつもそうなのだが、気が付けばすっかり朝になり、彼の姿がそこにないのはいつものことだった。
オメガの自分とは違って優秀な彼は忙しい。
――ベイジルの恋人である彼、スターリー・ジギスムンドは航空会社に勤めている。
なんでもそこは国内でも有数な路線網を持ち、国外からの離着陸のシェアは大部分を占めているそうだ。
そして彼は次期社長とも噂されるほどの優れた人物だった。
だからこそ、こうして多忙な彼との貴重な時間を逃してはならないとベイジルは思い、自分とスターリーにとって重大な話を今、この場で告白したのだ。
きっと彼は両手放しに喜んでくれる。
そう信じて――。
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