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ひとつの名案。

 しかし――。  あれがこの世界に存在する限り、自分には永遠に平穏が訪れないように思える。  誰かを雇ってあれの命を奪うか。  いやしかし、そのことが公にでもなれば、自分の首を自ら絞めることになってしまう。  ベータはオメガよりはずっと使い勝手は良いが、それでも奴らもけっして頭がいいとは言い切れない。  きっと後々何かを仕出かすに決まっている。  さて、どうするか。  あれこれと思案していてもなかなか良いアイデアが浮かばない。  スターリーはへこへこと頭を下げる従業員を尻目にホテルを抜け、夜の道を進む中、電気の球が切れかかっている街灯に差し掛かった。  その時だ。彼に一筋の妙案が過ぎった。  ――たしか、地下室に悪魔との契約が記された本がいくらかあった。  なるほど。この世の者ではない誰かに彼の命を奪って貰うというのも悪くはない。  スターリーはひとつ呻った。 「――――」  たしかに、悪魔ならば口が硬い。下級ではそうはいかないが上級であればあるほどその力も強く、アルファのようにずっと利口だ。  代々自分たちジギスムンドのアルファを継ぐ者は皆、そうやってこの窮地の場を忍んできた。 「よし」  彼は噛みしめた唇を解くと、早足に帰路へと急いだ。

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