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目的。

 †  ――信じられない。  ベイジルは自分の目を疑った。  それというのも、子供たちは見るからにプレイボーイふうのロマの男に群がっていたからだ。  ベイジルはてっきり、彼が自分とのセックスを忘れられず、言い寄ってきたのかと思った。  なにせ自分はオメガという希少な性を持っている。発情期の今、抑制する薬を飲んでいるからこそ一般のベータのように暮らせているが、薬の効果が切れればたちまちフェロモンだけでも相手を狂わせることができる。ベイジルはそういう種族の下に生まれてしまった。だから相手をベッドの上で喜ばせるのは簡単なことだ。  それだけに、ベイジルたちオメガはベータやアルファの性欲処理の道具に使われてしまう。  だからこの男もまた、性的欲望を満たすために近づいたのだと思ったのだ。  だって彼は子供の面倒を見るようなタイプではない。  相手を威嚇するような鋭い双眸に、への字に曲がった薄い唇は頑固そうだ。それに彼のルックス。  長い手足と若さゆえに引き締まった身体。彼は自分が魅力的なことを十分に理解しているのだろう、身体のラインを生かした見る限り高級そうな黒のカシミアのスーツを見事に着こなしていた。  その彼がひょんなことから発情しているベイジルを拾い、一夜を過ごした。彼はおそらく、自分とのセックスを気に入ったに違いない。  そして彼は命の危険性がある煙突掃除の代わりにシスターに取り入ってベビーシッターとして働き口を紹介した。  目的はただひとつ。

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