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エピローグ

   道具のように扱うと、苦しそうな顔をするくせに、宮代は悦んだ。傷付き、血を流し、痕が残ろうと、宮代は満足していた。  優しく扱うと、悲しそうな顔をするくせに、宮代は悦んだ。愛され、甘やかされ、大事に扱われようと、宮代は満足していた。  体がボロボロになり、どんなに汚れ、どんなに傷付こうと、宮代は織辺を責めない。  だからこそ、織辺は分からなかった。  傷付いて涙を流すくせに、優しくしても涙を流す宮代に……どう接するのが、正解なのか。自分は、どうしたいのか。  初めて、宮代の局部を剃毛したあの日……今まで見たことがない程、宮代は狼狽していた。傷もムダ毛も一切無い、色白で美しい局部を眺めながら、要領を得ない発言を繰り返す宮代に……織辺は酷く、体が高揚してしまったのだ。  それから毎日、二人は入浴を共にした。織辺がカミソリを手に取る度、宮代は体をガタガタと震わせて、隅っこの方まで逃げていく。その様を見る為だけに、織辺は宮代と共に、入浴するようになった。  毛が生えてきたら、織辺の手で綺麗に剃り直す。その度に宮代は泣き出し、綺麗な局部を見て叫ぶのだ。  ――『織辺さんに愛された証が無いなんて、耐えられません』と。  そんな宮代が、愛おしくて堪らない。そう思う織辺は、宮代と同様に……歪んでいるのだろう。  泣き叫ぶ宮代を見つめて、織辺は何度だってこう言った。  ――『また生えてきたら、俺が綺麗に剃ってやる』と。  ――それは、織辺から告げられた愛の言葉だと、宮代が気付く日は、きっとこない。

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