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第10話 R-18
藤堂はローションを置いていたローテーブルからスキンを取り出し、自身の楔に被せようとしたが、その手を凍夜が止めた。
「いらない」
「これ付けないと、先輩の体に負担がかかりますよ」
「いいから付けるな。会社で中、綺麗にしてきたから、そのまましてほしい」
「分かりました」
菊門にローションを足し、ゆっくりと凍夜の中に入る。
凍夜の中は藤堂の形を覚えていた。
カリの部分までしか入っていないのに、凍夜の中は歓喜に満ちていた。
「先輩の中、この前よりすごい…」
「それだけお前のことがほしいんだよ。早く全部入れてくれよ」
「ゆっくり入れます」
ゆっくりと腰を進め、藤堂の太く長い楔は凍夜の中にすっぽり埋まった。
「全部入りました」
「おなか、いっぱい」
「どこにいますかね?」
意識させるために、凍夜のお腹側を抉るように突く。
すると、不自然にぽっこり膨れた部分があった。
「俺の先端、先輩のお腹のここにいますよ」
「うん。分かる。感じてる」
無意識なのか、凍夜はぽっこり膨れた部分に手を翳し、撫でていた。
特別煽っているわけではないのに、藤堂の楔は一回り大きく成長した。
「ちょっ、大きくしすぎっ」
「先輩が悪いんです。動きますからね」
抽送をしつつ、凍夜のいい所を抉る。
凍夜は自分も気づかぬうちに白濁を何度も自身の腹の上に吐き出していた。
「要、気持ちいい」
突然名前を呼ばれ、藤堂は抽送を止めた。
「先輩、名前…」
「付き合ってるんだし、名前呼んでもおかしくないだろ?」
「凍夜さん…」
「『さん』はいらない」
「凍夜」
「二人きりの時だけでいいから名前で呼んで?」
「そんなかわいいこと言って、どれだけ俺を煽ればいいんですかっ!!」
「ひゃんっ!」
「俺が、満足、するまで、付き合って、もらいます、からね」
「む、りぃ」
「俺を、煽った、罰です」
「あ゛ぁ…」
バチュン、バチュン、と肌とローションの合わさる音が部屋中に響く。
「かな、めぇ」
「凍夜っ」
「かな、め、イク」
「俺も、イク、ので、最後、抜きます」
「だめ、抜か、ないで」
「抜かなきゃ、中で、出しちゃう、ことになる」
「中で、出して、お願い」
「ぁぁもうっ!イクっ…!」
「ぁ…っ!!」
最後は二人同時にイった。
凍夜は自分の腹の上に、藤堂は凍夜の中に白濁を吐き出した。
「凍夜、体辛くありませんか?」
「敬語禁止」
「…凍夜、体辛くない?」
「大丈夫」
「抜くよ?」
「もう少しこのままでいたい」
「でも早く抜いて掻き出さないと、辛くなるの凍夜だよ?」
「それでもまだ繋がっていたい」
「どうしたの?」
「俺が女だったら、『要の子産んでやれるのに』とか思ったら、切なくなってきた」
「凍夜」
藤堂は眉をハの字にして切なそうに見上げる凍夜を抱きしめた。
「確かに凍夜が女の子だったら、俺の子を産んでもらえたかもしれない。だけど、今の俺は女性不審だから、凍夜とこうやって抱き合うこともできなかったわけで…。何が言いたいかというと、凍夜が俺と同じ男でよかったってこと」
「…ありがと」
「ねぇ、凍夜。大事な話があるんだけど」
「何?」
「起きて、ちゃんと聞いて?」
「…?」
藤堂に起こされ、ベッドに腰かけるように座らされ、藤堂ハリビングの方へ何かを取りに行った。
寝室に戻ってきた藤堂は凍夜の前で跪き、ベルベット調の小箱を開いた。
「いきなりで申し訳ないんだけど、俺と結婚してくれませんか?」
「へっ!?」
「この一週間考えてたんだけど、もう俺、凍夜のこと離してやれそうにない。さっきみたいに勝手に想像ばかり膨らんで暴走するし、嫉妬は人の三倍くらいするし、まだ社会のこと全然知らなくて凍夜にいっぱい迷惑かけるかもしれないけど、ずっと凍夜の側にいたい。ずっと凍夜と一緒にいたい。少しの時間も離れたくない。死ぬまで一緒の時間を過ごしたい。だから俺と結婚してください」
「要…」
凍夜は絶対自分には訪れることのない光景を目の当たりにして言葉が出なかった。
特定の恋人を作らないと決めたその日、一生結婚することもなく一人寂しく孤独死をすると覚悟した。
どんなにがんばっても自分には訪れることのない無縁の光景。
それが今目の前にある。
表情が死んでしまったかのように動かない。
しかし、涙だけはボロボロと流れた。
「凍夜!?ごめん、いきなりで困らせた?」
「違う。嬉しくて…」
「…?」
「俺、こんな日が来るなんて思ってなくて、死ぬのは孤独死だって思ってた。それなのに、俺にも家族を持てるなんて思ってもみなくて、嬉しくて…」
「泣かないで、凍夜」
藤堂は凍夜の頬の涙を何度も泣き止むまで拭った。
「まずは同性婚を容認している地区に引っ越して籍を入れよう。その前にご両親に挨拶に行かなきゃいけないよね。あとは、新居をどうするか決めなきゃね」
一人であたふたとする藤堂を見ていると、泣いているのがおかしくなって、凍夜は笑った。
「やっと笑ってくれたね」
「ぇ?」
「これからも一緒に笑って過ごせる家庭を作りたいな」
「俺も」
「死ぬ瞬間まで幸せにすると誓います」
「俺も誓います」
「では、指輪を贈呈します」
凍夜は藤堂に左手を差し出すと、薬指に用意してくれた指輪を嵌めてもらった。
きらりと光る指輪はまるで二人の未来を照らす光そのもののように感じた。
「全裸でこんな真面目な話するなんて思ってもみなかった」
「俺だって、プロポーズはちゃんとしたシチュエーションで、って決めてたのに、気持ちが異様に焦っちゃって、こんな形になったんだもん。そこは許してよ」
「いいよ、許す」
「ありがと」
「俺に惚れさせた責任、取らなきゃだもんな」
誓いの口づけよろしく、満月の月明かりの元、熱い口づけを交わした。
fin
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