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第9話 R-18
楽しい時間というものはあっという間に過ぎていく。
修学旅行だったり、林間学校だったり…。
先週末は夢のようだった。
藤堂と気持ちが通じ合い、晴れて恋人となれた。
恋人になってからの藤堂は甲斐甲斐しく世話を焼いてくれた。
その分、体を求められたわけだが…。
それでも凍夜は嬉しかった。
自分は生涯本気で恋をすることもないし、恋人を作ることもできないと思っていた。
諦めていたことを叶えてくれたのが、今凍夜の隣で楽しそうに笑う藤堂だった。
「先輩、この後どうしましょう?」
「この後?」
「今日はもう仕事終わりだし、この後予定ありますか?」
今週は先週までの自分とは違うみたいに、仕事が捗った。
プロジェクトの仕事も通常業務も両方共サクサクと仕事が進んでいった。
おかげで金曜の今日も定時で帰宅しているところだった。
「特別予定はないけど?」
「じゃぁ、わがまま言ってもいいですか?」
「なんだ?」
「一緒にいたいです」
「俺の家?お前の家?」
「俺の家に行きましょう」
「いいけど、帰る前にコンビニ寄って行こう。酒とか買いたいから」
「はいっ!」
凍夜は藤堂の家に着くまで、そわそわしていた。
まるで中学生が初めて好きな子の家に行く時のような気持ちだった。
「どうぞ。散らかってますけど、気にしないでくださいね」
「お邪魔します」
入ってみて気付いたけど、藤堂はかなり整理整頓がうまい。
どこに何があるっていうのが一目で分かる。
藤堂のデスクが散らかっていることがないのを思い出して、凍夜は納得した。
「全然散らかってなんかない。むしろ俺の家の方が散らかってる」
「それはそれでいいんです。先輩の家だから、アリなんです」
「いや、ナシだろ」
「俺がアリって言ったらアリなんです」
凍夜はスーツの上着をソファーの横に置いた鞄に掛け、ソファーに座って藤堂が来るのを待った。
藤堂はコンビニで買ったビールを両手に抱えてリビングのソファーにやって来た。
カシュ、とプルタブを開けると炭酸の弾ける音が鼓膜を叩く。
仕事終わりのビールはどの季節でも格別に旨い。
「くぁ~、旨い」
「仕事終わりのビールは旨いですね」
「つまみ、どこだっけ?」
「ここにありますよ」
ビールと一緒に買っておいたさきいかの袋を開け、一つ口に放り込む。
凍夜は至福の時に酔いしれていた。
「先輩」
「ん?…むぐっ」
突然、藤堂がキスをしてきた。
そのキスに応えようと口を開くと、藤堂から苦い液体が口移しされた。
それがビールであると気付くのに少し時間がかかった。
「ど、どうした?」
「こういうの、してみたくて」
「お、おぅ」
口移しで何かを飲まされるのっていうのは少し恥ずかしい。
唐突な藤堂の行為にまだ少ししか飲んでいないビールのアルコールが全身に回ったように感じた。
そんな凍夜の様子を藤堂は見逃さなかった。
「先輩、大丈夫ですか?」
「ん、ちょっと酔ったかも」
「寝室、行きますか?」
「うん」
藤堂と付き合うようになって、凍夜は『いや』とか『やだ』とか言わなくなった。
与えられた厚意を素直に受け取るようになった。
藤堂に付き添われて真っ暗な寝室のベッドにダイブした。
当然ベッドからは藤堂の匂いがする。
それが凍夜には興奮材料になった。
「藤堂」
「どうしました?」
「チューして」
「仰せのままに」
藤堂は凍夜の望んだキスをたっぷりしてやった。
凍夜の下半身はそのキスで熱を持ち、一目で興奮しているのが分かる状態だった。
「先輩、したいです」
「うん、俺も」
「脱がせますよ」
「うん」
ネクタイを解かれ、Yシャツのボタンを外して脱がされ、先に上半身を裸にされる。
次はベルトを緩められ、チャックを下ろされ、ズボンとパンツを一緒に足から抜き去られる。
一糸まとわぬ姿になった凍夜を見た藤堂は自身の服を手荒に脱ぎ去り、凍夜同様の姿になった。
そのまま凍夜に覆いかぶさり、キスを繰り返す。
「先輩の、完勃ちですね」
「お前のだって、一緒だろ」
「それだけ先輩が俺を気持ちよくさせてくれてるってことです」
「それは俺も一緒だし。ってか、もう入れてくれよ」
「入れてって、まだ慣らしてもないのに、入れたら先輩を傷つけちゃいます」
「大丈夫だって。先週末ずっと入ってたんだから」
「許しません。ちゃんと解してからです」
藤堂はベッドサイドのローテーブルからローションを取り出し、凍夜の菊門付近に大量にぶちまけた。
自身の指にもたっぷりローションを付けると、凍夜の菊門をにちゃにちゃと擦った。
それだけなのに、凍夜の菊門はクパクパと口を広げた。
さすがに藤堂はその様子に動揺した。
凍夜に限って、浮気をするとは考えにくい。
でも、自分と付き合う前は一夜限りの関係で楽しんでいたと言っていたし、もしかしたら自分じゃない誰かのモノを銜え込んでいたのかもしれない。
そう思ってしまうと、凍夜の中にいきなり指を三本突き入れていた。
「先輩、どうしてこんなに柔らかいんですか?」
「やぁ…っ、それは…」
「それは?」
「解してきたから」
「解して?」
藤堂の指を抜かせ、凍夜は自分の鞄の中を漁り、藤堂の目の前にかなり太めのアナルプラグを突きつけた。
「これ、今日一日入れてた」
「どうして…」
「お前に抱いてほしかったんだよっ!皆まで言わせるなよっ!バカっ!!」
最後の方は叫ぶように凍夜は言った。
本当に言いたくないことだったみたいで、首まで真っ赤になって、そっぽ向いてしまった。
そんな凍夜を愛おしく感じた藤堂はギュッと抱きしめた。
「ごめんなさい、少し怖かったんです」
「怖い?」
「いくら先週末いっぱい抱いたと言っても、時間は経ってる。それなのに、こんなに柔らかいのは俺以外の人に抱かれたのかなって思って…」
「馬鹿野郎、浮氣なんかするわけないだろうが」
「そうですね。先輩、俺のこと大好きですもんね」
「お前が浮気したら、お前を殺して俺も死ぬくらい、お前のことが好きだから安心しろ」
「はい。やり直してもいいですか?」
「やだ」
「えっ…」
「もう柔らかいから入れろ」
「仰せのままに」
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