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第1話
背後から伸びた筋ばった大きな手が俺のペニスを覆い、指先でくちゅくちゅと鈴口を揉み込んだ。
少し乱暴だけれども、痛みを感じる手前の絶妙な力加減。
「あっ」
思わず声が漏れ、慌てて唇を噛んだ。
聞かれたか? それともうまく誤魔化せただろうか?
耳許にかかった吐息で、彼が微笑んだのがわかった。
心の中で舌打ちしつつも、彼の反応に安堵とも喜びともつかぬ甘酸っぱい感情が沸き上がる沸きあがった。
少なくとも、俺の反応に嫌悪感はもっていない。
「そろそろ、穴作りを始めないと時間がねーな」
俺の粘液をまとった彼の指が会陰を通りすぎ、蕾を優しくノックした。
彼の指の爪は、いつも短く清潔に整えられている。
数えきれぬほどいる彼女の一人がネイリストで、セックスの度に整えてくれるのだといっていた。
「んっ」
ツプリと指が差し込まれた。
苦しいが痛みはない。
昨日も酷使したそこは、柔らかいまま。
使い込んでいるのに緩むことなく、適度な締まりと柔軟性をあわせもつ最高の名器だと、昨日も褒められた。
「ああっ」
指が増やされた。
リズミカルな動きで前立腺を刺激されると、肉襞が切なく疼いた。
「……そ、蒼汰……いれて」
言葉が勝手に口からこぼれた。
ずっと封印していた言葉だった。
押し潰されそうな切なさに耐えきれなかった。
「ん? 我慢できない? じゃあ、部屋にはいってもらおうか? 今日の相手は、バスケ部の前田。吉村から聞いたらしくて、お前を試してみたいって泣きつかれたんだ」
ほらね。無駄だった。
セックスの相手を部屋にいれるんじゃなく、お前のペニスをいれてってことだって、思いもしないんだ。
だって、蒼汰は俺を抱かない。
蒼汰のペニスは、女の腟専用だから。
「前田ー! 用意できたぞ! いいぞ、入ってきて! 」
「おっしゃー! 蒼汰、遅いっつーの。じゃあ、 小池、よろしく頼むな?」
蒼汰が背後から俺の膝裏を持ち上げた。
勃起して先走りで濡れたペニスと性器に作りかえられた穴が前田の目の前にあらわになる。
「エロいな」
「やり方わかる? 俺がこうして入れやすいように小池を支えておくから、お前のチンコをゆっくりといれろよ? 」
「ゴムはつけた方がいい?」
「ん? 妊娠しねーし、折角だから生がいいんじゃね? 女にはできない男の利点だもんな。もちろん、中出しオッケーだから」
中出しオッケーなんて、お前がいうな。
大変さを知らないくせに。
中に出された精液はいつまでもぐちゅぐちゅと垂れてくるし、腹は痛くなるし全然オッケーじゃない。
けれども、俺は言葉を飲み込む。
女にはない利点をアピールして、蒼汰にいれてみたいって思ってもらいたいから。
「ほら、いれろよ?」
蒼汰の指で蕾がクパッとひらかれた。
ゴクリと前田の喉が鳴る。
前田は慌てて、前をくつろげてすっかり形を変えて反り上がったペニスを取り出した。
「おうっ!」
先端が蕾にあてがわれた。
反射的に上に逃げようとする肩を蒼汰に押さえられる。
前田は「げ、キツイ」と言いながらも、腰に力を込め、肉のあわいを掻き分けてゆっくりと侵入してきた。
「ああっ、だ、だめ。蒼汰……無理。やめさせて」
苦しさに蒼汰に泣きをいれるが、逆に力を込めて押さえつけられた。
「よし、全部入った」
「すげ、小池の中っすげー気持ちいい。もう、出そう」
「そうだろ? こいつ名器だから、みんな夢中になるんだ。もう、馴染んだし、ここから先は好きに動いていいから。俺は今から女の部屋に行くし、朝に迎えに来る」
「おう。一回だけじゃなくて何回やってもいいんだよな? 」
「うん、好きなだけやっていいよ。シャワーも好きに使っていいけど、ここは俺の家だってことは忘れんなよ? あまりにも酷いと金とるからな?」
蒼汰は背後から抱き抱えていた俺の体をベッドに横たえ、そのまま俺と前田を残し部屋を出ていった。
パタンとドアの閉まる音と共に、前田は勢いよく抽挿を開始した。
蒼汰は今から女を抱きに行く。
今日の相手は、誰だろう?
うちの学校だろうか?
それとも、今朝の電車で連絡先を交換していたOLだろうか?
どんな風に抱くのだろう?
こんな風に激しく抱くのだろうか?
「やべ、出る! あっーー!」
前田が激しく抉るように腰を突くと熱い粘液が内部に注ぎ込まれた。
全身に鳥肌がたつ。
俺は不快感に眉間を寄せた。何度やられても慣れない。
「小池、エロい顔してるじゃん。今のよかった? お前もいった? あれ、精液がでてない。あ、ドライでいったのか」
いってないから。
単純に萎えたんだよ。
蒼汰がいなくなったから、萎えたんだよ……。
「やべー、抜かないで出来そう。もう一回戦やっていい?」
蒼汰はどんな顔で射精するのだろうか?
蒼汰は……
蒼汰は……
蒼汰は親友だった。
それが今は、まるで女衒のように俺を男どもに斡旋する。
どうしてこんな関係になった?
「小池……確かに名器だな! すげー吸い付いてきてじっとしてるだけでも気持ちがいい! 蒼汰がいってたみたいに最高! お前、顔も可愛いし惚れそう」
前田はバスケ部のエース。
体力だけはある。
あと何回ヤルのだろうか。
無事に朝を迎えることができるのか?
前田の切っ先が前立腺のしこりをかすめた。
俺の萎えた性器に血流が再開する。
俺は思考を手放し、芽生えた快感を逃さないように集中した。
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