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第6話
学校に行くと、すでに蒼汰は登校していた。
目が合うと、嬉しそうにくしゃりと破顔する。
一瞬で胸の中が甘い感情で満たされる。
笑顔1つで、今朝の落胆がどこかに霧散する。
蒼汰と俺は両想い。
2人はもう、恋人。
蒼汰は俺の親友で彼氏。
叫び出したい。ここにいる人たち、みんなに言い回りたい。
この男は、俺のもの。俺だけのものって。
蒼汰は級友の集団から離れると俺の席までやってきた。
「おはよう。昨日はごめん」
「ううん。別に」
「人選を誤った。あの人があんな性癖とは思わなくてさ。かなりのSだったよな」
あ、そっちか。
蒼汰の告白で頭からすっかり抜けていたけど、そんなこともあった。
気にすることなんかないのに。
「今度はちゃんとその辺も確かめるから」
「今度って?」
「次の練習会」
「え? 何を言ってるか、全然わからないんだけど」
蒼汰がキョトンと首を傾げる。
「だから、練習会」
「まだ、続けるの? 蒼汰……俺のこと、好きって言ったよね?」
「うん、もう隠す必要ないから言っちゃうけど、俺、小池のこと好きなんだ。小池も俺のこと好きだよね?」
蒼汰がハニカミながら頬を赤らめる。
「なのに……蒼汰は、これからもあれを続けるつもり?」
「うん。ちゃんと性癖を確かめて、体を傷付けるような乱暴なことは禁止事項に挙げておく。お前が嫌だったらフェラも禁止にする」
「ちょ、ちょっと待って、蒼汰は自分の恋人を他の男に抱かせて平気なの?」
「平気な訳ないだろ? だから、ちゃんと相手を厳選するし、お前が気持ち良くなれるように時間をかけて下準備してるだろ?」
「……また、話が見えなくなった」
頭がクラクラしてきた。
話が全く噛み合わない。
想いが通じたと思ったのは、まやかしだったのか?
こいつは俺のこと、本当に好きなのか?
「来週くらいで、予定しておいて。相手は、よく知ってる信用出来るやつだから。あいつをお前のケツマンコで男にしてやってよ? 不器用だけど凄くいいやつなんだ」
蒼汰が破顔する。朝イチと同じ甘い笑顔。
けれども、さっきまで身体中を満たしていた甘い感情はすっかりと消え失せていた。
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