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第5話

蒼汰にキスをされた後は、体を繋げることなく帰宅した。 蒼汰と両想い。 信じられない出来事に実感が伴わない。 明日から、どうやって顔を合わせればいいのだろう? 風呂に入った。念入りに体を洗う。 この体は蒼汰のもの。 鏡に映った自分の唇がなまめかしい。 指でなぞると蒼汰の唇の感触が甦る。 蒼汰、大好き。 Maxと思っていた蒼汰への気持ちが更に高まる。 人を思う気持ちに際限はないと思い知る。 大好き。大好き。大好き。 どこまで好きになるのだろう? 風呂から上がり、スマホを確認する。 蒼汰からメッセージはない。 蒼汰も風呂に入っているのかな。 もう、寝よう。 夕飯も食べずに早めに布団に入った。 朝になった。一晩経っても、高揚した気持ちはそのまま。 俺は、世界で1番幸せ者。 ワクワクしながら、スマホを確認する。 蒼汰からのメッセージはない。 そうだよね。 今までそんなやり取りしてた訳じゃないし、急に態度を変えるのも難しいよね。 蒼汰も悩んであえて送れなかったのかも。 必死に言い訳をしている自分に苦笑する。 「いってきます」 いつもより早めに家をでた。 高揚した気持ちは、いつの間にか消えていた。 代わりに、何とも言えないモヤモヤとした灰色のものが胸に広がっていた。

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