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第1話

湯木(ゆき)みなみの恋人は少々性格が捩じれている。 それはみなみも分かっていて、それでも恋人である貴船誠(きふねまこと)のことが好きだった。 だから、何をされてもよかった。 愛してさえくれるならば。 「ゆきちゃん、可愛いねー」 「あ、ありがと、……ざいま、あんっ!」 誠の友人に後ろから突かれながら、みなみは感謝の意を示した。 素直な可愛い奴隷になれ、と今日は誠から言われている。 だから、その通りに演じている。 勿論、心の底からそんなことを思っているわけではない。 誠以外の人に抱かれるなんてごめんだし、拒否したい。 だけど、これを誠は望んでいる。ならば、何も言えない。 誠の望みを叶えるだけだ。 「ゆきちゃん、お口がお留守だよ」 「んぐっ」 そう言われ、口の中に太い男根が突っ込まれた。 喉奥まで容赦なく突いてくるので何度も嗚咽しそうになった。 みなみを抱いているのは全部で四人。 誠は少し離れて静観しているだけ。 手を出してはくれない。いつものことだ。 「ん、んんっ、は、ぁあっ」 ピストン運動が早くなり、後ろも前も苦しくなる。 どんなに苦しくても男たちは行為を止めてはくれない。 自分たちが気持ち良ければみなみのことなどどうでもいいのだろう。 一度だってみなみの様子を本気で伺ったことなどなかった。 みなみはベッドに裸で仰向けに寝かされたまま、口淫のために横を向かされた状態だ。 写真や動画は撮らない約束なので誰も撮影はしていない。 それは有り難かった。 「乳首ピンク色じゃん、おいしそー」 「んふっ、んんっ!」 乳首をきゅ、と摘ままれて、思わず体が反応してしまった。 痛さと、その奥にある快感が一度にみなみを襲う。 気持ちいいのか痛いのか、もうわけがわからない。 「あー、もう出るわ。貴船、顔射はいいんだっけ?」 「いいよ」 「だってさ。悪いな、ゆきちゃん」 悪いな、とか言いながら、表情はにやけたままで悪びれた様子はない。 いつもそうだ、皆、口だけは謝っているが心の中ではただただこの状況を楽しんでいるだけなのだ。 「オレも出る。ゆきちゃん、全部飲んでねー」 「んっ、んんんっ―――!」 口の中に出され、顔や体にも精子をぶち撒かれた。 独特の味が口の中に広がるが、飲んでね、と言われた以上吐き出すことはできない。 眉を顰めながら一滴残らず飲み干して、ぺろり、と舌なめずりをした。 顔や体にまき散らされた精液がベトベトしていて気持ち悪い。 だが嫌な顔をすれば誠になんと言われるか分からない。 嫌われたくない一心で、みなみは笑顔を作った。 「おいし……ですぅ……」 「美味しい?厭らしいなー、ゆきちゃんは」 満足そうに、射精した男は自分のペニスをしまってくれた。 「こっちも限界」 「んあっ、あああっ!あ、出してぇ、中に、いっぱいぃ!」 後孔を犯すピストン運動の激しさが増し、動きを止めたかと思うと中に熱いものがたっぷりと注ぎ込まれた。 ずるり、と男根が抜かれる。 体中精液だらけだ。こんな姿、本当は誠には見られたくない。 顔を伏せてしまいところだけど、それはできないのでみなみは男たちに笑顔を向けた。 「気持ち良かった、です」 「すごくよかった。またな、ゆきちゃん」 男たちは誠と談笑したあと、部屋を出て行った。 風呂場で体を綺麗にしたい。 そう思って立ち上がろうとすると、誠に止められた。 180センチを超える誠に見下ろされるとどうしても委縮してしまう。 見た目はこんなにも誠実そうな紳士なのに、やっていることは結構なことだ。 そんな誠に惚れているんだからどうしようもないのだけれど。 「乱れてるみなみを見たら我慢できなくなっちゃった」 ちゅ、と額にキスを落とされる。 ああ、これは優しいセックスの前触れだ。 そう思い、見上げ、みなみは本物の笑みを浮かべた。 「オレも、誠さんがほしい」 こんなに無茶苦茶なことをされた後だというのに、怒りの感情すら沸いてこない。 優しく蕩けそうになるセックスで、全てがどうでもよくなってしまって。 愛されているならそれでいいや、という気持ちになってしまい、いつも流されてしまう。 「抱いて?」 そして、今日も、いつものようにその感情に流されるのだ。

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