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第1話
小さい頃からかっこいい兄が大好きだった。
「みてみて!これね、おにいちゃんとぼくだよ!じょうず?」
「おー上手上手。さっすが兄ちゃんの弟だな!」
「うん!」
ある時、俺はこんな約束をした。
「ねぇねぇおにいちゃん」
「ん?どーした?」
「ぼくね、おにいちゃんのことだいすきなの…だからね、ずっといっしょにいてくれる?」
兄が驚いた顔をしたのは今でも覚えてる。
「…うん、ずっと一緒に居てあげるよ」
「ほんとに?やくそくだよ?」
「うん、約束」
確かに兄は約束と言ったはずなのに、ある日家を出ていった。
「じゃあな、元気でな…いってきます」
「?いってらっしゃい!」
なにも知らなかった俺は見送るしかできなかった。
兄が帰ってくることはもちろん無かった。
「…ずっと一緒に居るって約束したのに…」
嘘をつかれた事より、自分をおいていった事が悲しくて仕方なかった。
兄が出ていってから5年、俺は高校2年生。
俺は今日から一人暮らし。
「行ってくるね母さん。父さんも元気でね」
「…困ったことがあったらいつでも言ってね?母さんも父さんも枝下の見方だからね!」
「うん…お盆とかは必ず帰るから、じゃあね」
今日から頼れる人はそばにいない。
自分一人で頑張らなきゃいけない。
「兄さん…」
兄さんに追い付けるように1分でも早く自立したかった。
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